「令和の藤原道長」を目指す麻生太郎氏
上記の案件のうち、森英介衆議院議長(麻生氏の側近)が「皇室典範改正」を最優先したいとしているのは、「皇統は男系男子」にこだわる麻生氏の「旧宮家から養子を迎える案を実現させたい」という思いが強いからにほかならない。
もっと言えば、三笠宮寛仁親王妃の信子さまの実の兄である麻生氏は、信子さまが旧宮家から養子を迎え、やがて男児が誕生すれば、政治と皇室の両方に影響力を発揮できる立場になれる。「平安時代の藤原道長のよう」(中道改革連合の野田佳彦前共同代表)との声が上がるのは無理もない。
また、国民民主党と連立を組みたい麻生氏にとって、国民民主党が打撃を受ける「議員定数を比例だけ45議席減らす」や日本維新の会が主導する「副首都」は望ましくない。さらに財務相経験もあるため、財務省が嫌がる「消費税率0%」も看過できない。
そんな麻生氏は、7月1日、高市氏のこれまでの実績を高く評価してみせた。ただ、具体的にほめた部分は外交安全保障に関する部分だけであった。このことは、今後、高市氏がフリーハンドで動けるジャンルは、麻生氏と考えが近い外交安全保障分野のみということを想起させる。
習近平がとにかく嫌う高市外交
とはいえ、中国からすれば、高市氏の外交安全保障に対する考え方そのものが気に食わない。
「私は台湾が大好きで大好きで、(中国とは距離を置く)民進党政権を維持してほしい」
約2年前、台湾問題で語った高市氏の言葉は、首相就任前の言葉とはいえ、「存立危機事態」発言以上に受け入れられないものだ。
高市首相が5月28日、フィリピンのマルコス大統領と会談して海洋協力で一致したこと、そして、6月2日には、中国と国境紛争を繰り広げてきたインドのモディ首相と会談し、モディ氏から「私の美しい妹」などと持ち上げられたことも、習氏からすれば相当腹立たしかったに相違ない。
日本では、その高市氏が主導する形で「防衛3文書」が改訂され、防衛費も増額されることになる。このことは、習氏にとってさらに厄介な事態になることを意味する。中国は、それらが実行に移される前に、台湾への締めつけ、そして尖閣諸島周辺の実効支配を強めることになるだろう。

