もし北朝鮮が中国と一緒に動いたら…

さて、中国は、着々と台湾統一への地ならしを進めている。今年3月、アメリカとイランの戦争が激しさを増した時期に、王毅首相が世界各国を歴訪したのは、「中国は平和主義」というイメージを国際社会に刷り込むためだ。

そしてもう1つ、習氏が今年最初の外国訪問先に北朝鮮を選び、金正恩総書記と会談したのは、近頃、ロシアとべったりの北朝鮮を中国側に引き寄せることに加え、北朝鮮が進める核開発を否定しない代わりに、台湾侵攻に踏み切った際は、戦略的協力を求める狙いがあったからにほかならない。

膠着こうちゃく状態が続いているウクライナ戦争で、ベラルーシがロシアと呼応して動いたように、仮に中国が台湾に侵攻した場合、北朝鮮も動けば、在日アメリカ軍や自衛隊は、東シナ海だけでなく日本海にも展開せざるを得ない。そうなると、2正面作戦を余儀なくされ、台湾の救援どころではなくなる恐れもある。

高市首相が自らの実績を示すなら外交だけ

もっとも、北朝鮮は、必ずしも日本に対し攻撃的な態度を貫いているわけではない。

2024年1月、能登半島地震が発生した際は、金氏が、「深い同情と慰問を表する」と見舞い電を送るという柔軟な姿勢を見せ、金氏の妹、与正氏も、3月23日、談話を発表し、「一方的な議題を解決しようというのなら、会う意向も対座することもない」と述べ、一方的な議題でなければ対話に応じる可能性に含みを持たせた。

問題の中国も、今年6月8日、日中友好に尽力した河野洋平元衆議院議長が逝去した際は、中国共産党でナンバー3に当たる趙楽際全国人民代表大会常務委員長(国会議長)が、日本側に、「あなたたちが河野先生の遺志を継承して、中日関係を正常な軌道に戻す役割を発揮することを願う」とする弔電を送っている。

ともに対話の意思があることはうかがわせる内容だけに、これらのサインを高市政権がどう判断し、どのように動くかが問われるのは言うまでもない。

実際、高市首相にとっては、外交安全保障だけが、自らがリードして推し進めることができる唯一の分野になってしまっている。

会期末を7月17日に控えた国会で焦点となっている「皇室典範改正」「衆議院の議員定数削減」「副首都」、それに「飲食料品の消費税率引き下げ」といった重要案件は、「どれも、麻生太郎副総裁しだいだね」(自民党旧安倍派衆議院議員)という状況なのだ。