大阪人にとって「割に合わない」から
タイムアウトマーケット大阪の惨状については、すでに他の記事でも指摘されているが、問題はなぜこんなガラガラになってしまったのか、だ。
思うに、大阪人というのは「出した金に見合った価値のあるもの」にしかカネを出さないのが性分なので、タイムアウトマーケットのように2000円前後払ったのに硬い椅子に座って飯を食うというのは割に合わないと判断されてしまっているのだろう。よく大阪人はドケチだと言われるのだが、それは“価値があるものかどうか”を見定めている様子見を兼ねている最中なので、様子見期間が終わって、やっぱり価値のないものと判断されれば、たちどころにお金が落ちなくなる。
大阪人は古くから“名より実を取る”実利主義な一面が強い。人柄一つにしても、よそから見られる大阪人はガラが悪く下品、外面は悪いのかも知れないが、当の大阪人は全く気にしていない。それよりも内面が整っているかどうか。そういうところで人を判断する。“人情の街”とはよく言ったもので、人を学歴とか家柄などではなく“人間性”で評価するウエイトが大きいとも言える。大阪人は常にそんな感じなので、人に限らずあらゆる事柄が“内面”で評価される。
大阪・関西万博が成功したワケ
開催前まではマスコミや世間に冷ややかな視線を送られた2025年の「大阪・関西万博」だって、いざ開催されてみれば、万博会場を訪れた人々に“内面”が評価されて、当初のお寒いムードは払拭され、沢山の来場者が押し寄せて大成功の内に幕を閉じた。
万博会場に何度も通っていた人々は万博グルメやグッズ購入などに湯水のごとくお金を使った。飲食代金がボッタクリだとか言われていた万博だが、そうした人々はむしろ喜んでお金を使っていた。クレカの請求に怯える怖さよりも、一生に二度と無いビッグイベントを余すこと無く楽しみたいという気持ちが勝った。万博が大阪人によって支持された証である。
なので、いくら梅田の界隈にタワマン住まいのセレブが増えても、まずは地元の大阪人に“内面”で支持されなければ飲食施設にしても何にしても経営的に立ち行かないわけだ。
もっとも、当のタイムアウトマーケットも改善を続けている。1000円以下で食べられる低価格帯のラーメン店を新たに入れたり、平日のランチタイムには1500円以下で食べられるメニューを出すなどして、今では徐々に客足が戻ってきており、もう言われているほどガラガラでも無くなった。
大阪駅前の知られざる過去
そもそも大阪・梅田は元来セレブタウンどころか、ホームレスが闊歩する貧民街だった。
今でこそ大阪・関西万博やインバウンド景気によってどんどん「意識高いセレブタウン化」しているが、元来この街は「埋め田」と字を当てるほどに地盤の弱い土地であり、江戸時代からの由緒がある大阪七墓の一つに数えられる「梅田墓」も存在するなど、大阪の外れにあった「貧民窟」だった。
ある意味でその生き証人とも言える、梅田の繁華街のそこかしこに居座っていたホームレス達も、今となってはすっかり姿をくらましてしまい、過去の歴史ごと塗り替えられようとしている勢いだ。
大阪がかつて持たれていた「人情のある下町」というイメージも、都市の再開発でどんどんかき消されようとしている。名残り惜しいが、“大阪らしさ”という言葉の定義も近い将来ごっそり変わってしまうものなのかも知れない。



