「金融の帝王」として君臨するロンドン

外国為替市場において、圧倒的なシェアを誇る都市はどこでしょうか。

世界最大の経済大国アメリカのウォール街(ニューヨーク)ではありません。イギリスのシティ(ロンドン)です。国際決済銀行(BIS)の統計を見れば一目瞭然ですが、ロンドン市場の為替取引額は世界全体の約40%前後を占め、2位のニューヨーク(約20%)にダブルスコアをつける圧倒的王者です。

かつて「大英帝国」として七つの海を支配したこの島国は、軍事力や産業力を失った今でも、金融の世界では帝王として君臨しています。最大の理由は、ロンドンが「経度0度(本初子午線)」に位置しているという、ただ一点の地理的事実に尽きます。

金融街、ロンドンのタワーブリッジ
写真=iStock.com/johnkellerman
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銀行やヘッジファンドは無視できない

地球儀を回してみると、その優位性は明らかです。ロンドンが朝を迎えてディーラーたちがデスクに着く頃、東には夕方を迎えるアジア市場(東京、香港、シンガポール)があり、まだ取引が続いています。そしてロンドンが午後を迎える頃、西には朝を迎える北米市場(ニューヨーク)がオープンし、フレッシュな注文が入ってきます。

つまり、ロンドンのディーラーだけが、1日の労働時間の中で、アジアの膨大な「実需マネー」と、アメリカの巨大な「投資マネー」の両方と、リアルタイムで取引ができるのです。「アジア」と「アメリカ」の間にある「ヨーロッパ」という位置こそが、地球規模の取引における中心なのです。

特に、ロンドンの午後とニューヨークの午前が重なる時間帯(日本時間の21時~25時頃)は、世界中のプレイヤーが参戦するため、世界で最も取引が活発になるゴールデンタイムです。この圧倒的な流動性があるからこそ、世界中の銀行やヘッジファンドは、好むと好まざるとにかかわらず、ロンドンに拠点を置かざるを得ないのです。

ロンドンが「時間の支配者」なら、ニューヨークは「規模の王」です。しかし、ここでも地理が重要です。なぜ、アメリカの金融センターは、IT産業が集まる西海岸のシリコンバレーではなく、東海岸のニューヨークなのでしょうか。