金融における「世界3大市場」とは、ニューヨーク、ロンドン、東京を指す。一体なぜこの3都市なのか。著作家・宇山卓栄さんの書籍『「地理で考える」は武器になる』(秀和システム新社)より、一部を紹介する――。
東京証券取引所
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「世界3大市場」の絶妙な距離感

世界経済において、唯一「眠らない市場」が存在します。外国為替市場(FX)です。

株式市場であれば、東京証券取引所は午後3時に閉まり、翌朝9時までは静寂に包まれます。しかし、通貨の交換は24時間、1年365日(週末を除く)、世界のどこかで絶え間なく行われています。

月曜日の早朝、ウェリントン(ニュージーランド)市場が目覚めた瞬間から、金曜日の夜、ニューヨーク市場が閉じるその瞬間まで、巨大なマネーのリレーは止まることを知りません。

なぜ、世界には無数の都市があるにもかかわらず、ロンドン、ニューヨーク、東京という3つの都市が、長きにわたって「3大市場」として君臨し続けているのでしょうか。彼らの金融スキルが優れているから? 違います。答えはもっとシンプルです。彼らが「地球の自転に合わせて、ちょうどよい間隔(経度)で配置されているから」です。

金融とは、どれほどデジタル化が進んでも、人間が太陽の光を浴びて活動し、夜に眠るという生物学的な制約(概日リズム)から逃れられない以上、「太陽の運行」すなわち「時差」によって決定づけられる物理現象なのです。