「机上で作られた音楽」を超えていく

もちろん平成Jポップ界にも「自分ならではの独創的な音楽を作りたい!」と思っていた音楽家はたくさんいただろう。しかし異なるのは時代である。マスメディアの後ろ盾が崩れつつある中、「自分ならではの独創的な音楽」そのものでしかのし上がれない時代をサバイブしてきた生命力を感じるのだ。4人には。

スージー鈴木『ライバルたちのJポップ史 ~70年代フォークから令和ヒットの裏側で』(祥伝社)
スージー鈴木『ライバルたちのJポップ史 ~70年代フォークから令和ヒットの裏側で』(祥伝社)

加えて、とくに藤井風のところで書いた「フィジカル」性も、4人全員に共通して感じられるポイントである。

たとえば、4人のボーカリストとしての実力。総合的な作品性が前面に出るため、ボーカリスト単体として十分に語られていないふしがあるが、全員、歌の実力、つまり音程、声量、表現力……は非常に豊かで、また他の誰とも似ていないボーカルスタイルを確立している。たとえ楽器なし、マイク1本でも、その「音楽主義」を何とか表現しそうな気がする。

今やポップスは、いうまでもなくデスクトップ・ミュージックである。デジタルの中での入力と編集の中で制作されていく。

しかし、そんなデジタルプロセスの根幹に卓越したフィジカルがあるかないか、が問われる時代が来ていると思う。いや、来ているからこそ、彼ら4人の作品が輝いているのではないか、という気がする。

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