運動してから勉強すると記憶が残る
運動や散歩が好きな方。朗報です。記憶の研究では、ちょっとした運動がその日の学習をあと押ししてくれる可能性が示されています。
アメリカのミシシッピ大学のロプリンジらは、若い成人を対象に、運動と記憶の関係を細かく調べました。ある実験では、参加者は15個の名詞リストを覚える課題に取り組みました。一つの条件では、記憶課題の前に、トレッドミルで20分のややきつめのランニングと5分のクールダウンを行いました。別の条件では、そのあいだ静かに座って過ごし、そのまま単語学習に入りました。
そのあとすぐと、24時間後に、どれだけ単語を思い出せるかをテストしました。その結果、運動をしてから勉強した場合には、座っていただけの場合よりも多く思い出すことができました。ロプリンジらは、運動前後の心拍や気分も測定し、運動によって覚醒度や注意が高まり、その状態でインプットした情報が長く残りやすくなっていると考えています。
統計的に確認されたプラス効果
もちろん、実験で使われたのはランニングマシンでの運動で、日常生活のゆっくりした散歩とは少し違います。それでも、急性運動と呼ばれる「1回きりの有酸素運動」が、その後の長期記憶を押し上げるという結果は、別の研究でも一貫して見られています。
ノースカロライナ大学グリーンズボロ校のラバンとエトニアは、記憶課題の前あるいは後に30分間(そのうち20分間は中強度)の運動を行ったグループと、座っていたグループを比べました。数十分たってから行う再生テストでは、運動を事前に行ったグループのほうが有意に多くの内容を思い出せました。
さらに、こうした個々の実験をまとめたメタ分析も行われています。先述のロプリンジらが行った系統的レビューでは、有酸素運動と記憶を扱った複数の研究を統合し、運動後の長期記憶成績が、座っていた条件に比べて向上していることが示されました。「劇的な差」ではないものの、統計的にははっきりしたプラス効果があり、特に言葉やエピソードの記憶と相性がいいという結論です。

