現在の安土城はかなり危うい状況

イエズス会の宣教師ルイス・フロイスは安土城の天主について、『日本史』にこう書く。

〈彼らが天守と呼ぶ一種の塔があり、我らヨーロッパの塔よりもはるかに気品があり壮大な別種の建築である。(中略)この塔は七層から成り、内部、外部ともに驚くほど見事な建築技術によって造営された。事実、内部にあっては、四方の壁に鮮やかに描かれた金色、その他色とりどりの肖像が、そのすべてを埋めつくしている。外部では、これら(七層)の層ごとに種々の色分けがなされている。あるものは、日本で用いられている漆塗り、すなわち黒い漆を塗った窓を配した白壁となっており、それがこの上ない美観を呈している。他のあるものは赤く、あるいは青く塗られており、最上層はすべて金色となっている〉(松田毅一・川崎桃太訳)

天主を含む安土城の中枢部は残念ながら、本能寺の変から13日後の天正10年(1582)6月15日に焼失してしまった。空前の絢爛豪華な城はわずか6年で失われた。このため現在にいたるまで、幻の城として歴史ファンのロマンをかき立てている。