天才エンジニアは時間を2つに分ける

ブロッコリーくんはチームの仲間で、30歳ぐらいのアメリカ人エンジニア。はっきり言って彼は真の天才だ。100人のエンジニアが束になってもかなわないくらいのヤバいエンジニアだ。実際に、この若さでプリンシパル・エンジニアという最高クラスのレベルまで駆け上がった。

ブロッコリーくんは本当に短い時間で信じられない質と量のアウトプットを出してくる。彼は、あるシステム設計の資料をたった半日で仕上げてきた。通常、1〜2週間はかかるような仕事にもかかわらず、だ。

速さと引き換えに中身がスカスカかと言えば、まったくそんなこともなかった。Wordにして5、6枚にわたる資料は、一つ一つの項目に丹念に思考が巡らされた形跡があり、興味深いデータに裏付けられた極めて内容の濃いものだった。ブロッコリーくんの資料が軸となって、システムの技術的な方向性について重要な意思決定をすることができた。

ぼくは大事なレビュー(資料のチェック)が終わった後に一言、ブロッコリーくんに聞いた。「この資料を昨日の午後だけでやったって言ってたけど、どうやってやったの?」。するとブロッコリーくんは「今更なんの話?」とでも言わんばかりにクールに答えた。

「全部『ブロック』した。作業時間をブロックして、メールやメッセージの通知もブロックしたし、他のエンジニアとのおしゃべりもブロックした。そしたら自然と集中力がやってきて、気づいたら終わってたよ」

左手で電卓を打ちながら書類に目を通している人の手元
写真=iStock.com/Poike
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事前に集中する時間を確保しておく

ぼくはこの言葉に「そういうことか!」と深く納得した。天才エンジニアは時間をブロックすることで「集中力を招き」、それによっておのずと高い品質の成果物を出しているのだった。ここでいう「ブロック」はざっくり言えば「時間を確保する」という意味だが、そこにはメールやメッセージの通知を遮断するなどして「集中する時間を作る」といった意味も含まれる。

「それだけ?」と思われたかもしれない。確かに、集中するために予定を確保するというだけではあまりに単純だ。そんなのはとっくにやろうとしている、という方もいらっしゃるかもしれない。

しかし卓越したエンジニアの仲間を見ていると、時間のブロックの仕方に「ある工夫」が仕込まれていることに気づいた。それは何か。彼らは、午前中は「チーム(コミュニケーション)の時間」、午後は「自分(思考)の時間」と、時間を2つのブロックに分けている。 

午前中に「人とやらないといけないこと」をまとめて片付け、午後には資料作成やデータ分析など「個人の作業」に没頭する。結果として、一日が終わる頃にはチームとしての大事な意思決定もできており、個人としての成果物も作れているという状態が生まれている。