城内には個性的なレア石垣も

ここまででも充分に「お腹いっぱい」だが、まだまだ石垣があるのが観音寺城。しかもここまでとはまるでタイプが異なる、レアなものが二つ。

ひとつは、大石垣から少し谷側に入り込んだ「伝・木村丸」。一見、何の変哲もない石垣に見えるが……。

整形されたらしき石
撮影=今泉慎一(風来堂)
整形されたらしき石も多数見られる

近づいてみると、そのレアな構造に気づくことができる。石垣の一部がトンネルのようにくり抜かれている。城用語でいう「うずみ門」だ。

伝木村丸の埋み門
撮影=今泉慎一(風来堂)
伝木村丸の埋み門。曲輪内部より

敵に気づかれないように内外を出入りできる、「隠し扉」のような存在が埋み門。有名なところでは姫路城の「るの門」がそうだが、山城ではかなり珍しいのではないだろうか。土造りだとなかなか構造的に難しいし、石垣で囲まれた曲輪は山城ではなかなか存在しない。

レアな石垣をもうひとつ。こちらは「伝・平井丸」から、西側の急斜面を数10m下った場所に突如、現れる。

二段石垣
撮影=今泉慎一(風来堂)
二段石垣

二段になっているのは高さを稼ぐためだと思われる。このパターンは比較的よくあるが、この石垣は不思議なことに、扇状にずれているのだ。片方の突端は、上下ともに角がそろっていて、逆側は離れている。この石垣の存在は以前、発掘調査に携わった方に案内していただいたのだが、その方も「他の城でも見たことがないし、目的は謎」とのことだった。

「伝・平井丸」からの急斜面、縄張図には点線があり、かつては登城路があったのかもしれない(現在は道なき急斜面のため要注意)。この道を登ってくる敵を食い止めるためだとすれば、その場所自体は納得が行くのだが……。