支払代金を「塩漬け」にする代償

BYDは部品を納入したサプライヤーへの代金支払いを、サプライチェーン・ファイナンスで代替することで極端に長く先延ばしする。2023年時点で、BYDがサプライヤーに代金を支払うまでの平均期間は275日に及んでいる。一般的な決済サイクルが45〜60日であることを考えると、異常な長さだ。

※The Business Times「BYD’s supply chain financing masks ballooning debt: GMT」(2025年1月20日)

即座に支払うべき仕入れ代金を半年以上も塩漬けにすれば、BYD本体は助かるだろうが、請負会社は資金繰りを自分でやりくりするしかない。

また、その間、BYDの手元には支払うべき現金が残り、帳簿上の資金繰りは潤沢になる。だがその実態は、サプライヤーへの未払い金という「事実上の借金」であり、BYD側にとっては将来の支払い圧力となり、サプライヤー側にとっては、最悪の場合、不良債権化するリスクを抱える。

GMTが3230億元という「隠れ負債」をあぶり出せたのは、この仕組みに気づいて、売掛金や90日以上の未払い買掛金が尋常ではないと気づいたからだった。

未払い金が雪だるま式に膨れ上がる

この異常さは、買掛金の推移を追うと、さらに鮮明になる。

BYDの「その他の買掛金」は、2021年末の約413億元から、2023年末には1650億元へと、わずか2年で4倍に膨れ上がっている。販売台数の急拡大に歩調を合わせるように、サプライヤーへの未払い金が雪だるま式に積み上がっていたのである。

GMTの分析については評価が分かれているが、米メディアはBYDの実質純負債が帳簿上の負債の10倍以上に達すると伝え、この分析を適切なものと評価しているようだ。

大メディアが伝えるBYDの快進撃と、裏で雪だるま的に積み上がっていく巨大な「隠れ負債」。同じ企業の話なのに、まるでパラレルワールドにいるような錯覚に陥る。

巨大利益を世界中から吸い上げるBYDと、その躍進に貢献した身内企業にまともに資金を回そうとしないBYD。いったいどちらが本当の姿なのか。