原料価格は4年で3.6倍、さらに…
しかし冒頭で述べた通り、ノルウェー産サバをめぐる状況は変化しつつある。
大西洋では近年、漁獲過剰によりサバの資源状況が悪化。ICESの勧告を受け、漁業国は大幅な漁獲枠削減を求められた。ノルウェーの2025年のサバ漁獲枠は約16万5000トン。これは2021年のおよそ半分だが、今年はさらに急減して約7万9000トンまで落ち込んでいる。在日ノルウェー大使館水産部によると、2025年の日本へのサバの直接輸出量は2万7000トンと前年に比べ半減した。
魚価も当然、急上昇している。「ノルウェーでの水揚げ時の原料価格は、2021年が1キロ当たり250円ほどだったが、2025年はキロ900円まで高騰。今年秋から始まる漁期にはキロ1000円以上に上がってしまうかもしれない」(商社関係者)とみられる。
高騰を受けて、国内の小売店や飲食店では、ほかの食品同様に値上げする動きが目立つ。価格がそれほど変わらなくても、切り身を小さくし、実質値上げを余儀なくされるケースが多い。
「それでもノルウェー産を使う」
ならばノルウェー産をやめて国産に変更すればいいのでは、と思われるかもしれないが、そうした動きは限定的だ。
魚のプロが集まる築地場外市場で水産物を販売する西山水産によると、「サバの文化干し(塩などで味付けして乾燥させた加工品)はノルウェー産の人気が高く、売れ行きは国産の3倍以上。たまに国産を好むお客さんもいるが、どちらがおいしいか聞かれると、やはり脂が乗ったノルウェー産を薦める」とのこと。
定食・弁当チェーンでも、国産サバへの切り替えを行っているケースは少ない。「オリジン弁当」を運営するオリジン東秀は、価格は高騰しているものの「引き続き脂が乗ってやわらかいノルウェー産を使用していく」という。
「大戸屋ごはん処」でも、人気の「さば炭火焼き定食」の原料について「引き続き脂が乗って鮮度が良く、品質が均一なノルウェー産が主体だが、(品薄・高値で)メニューへの出し方を控えめにしている」(大戸屋・商品マーケティング部)と打ち明ける。
東京・銀座(中央区)のレストラン「ラウンジ日比谷」の店長・石坂仁氏は、定番メニュー「サバの味噌煮定食」の原料について「ノルウェー産は高値だが、脂の乗りが良いことに加え、同じサイズのサバを安定的に仕入れられるため、調理のクオリティーを保ちやすい。国産にはない強みがあり、今後も引き続きノルウェー産を使用していきたい」と話す。
塩焼きや味噌煮だけではない。〆サバでもノルウェー産を原料に加工している例は多い。回転寿司チェーン「スシロー」の仕入れ担当者は、握りに使う〆サバについて「季節によって国産も使用しているが、やはりノルウェー産が中心。高くはなっているが、今後も使わないという選択肢はない」と話す。
