国産サバは28万トン以上獲れている

前提として、日本でノルウェー産のサバが大量に流通しているのは、国内でサバが獲れないからではない。

農林水産省が5月下旬に発表した「令和7年漁業・養殖業生産統計」によると、2025年の「サバ類」の漁獲量は約28万4000トンで、海の天然魚のうちマイワシ(約70万8000トン)に次いで2位。カツオ(約19万4000トン)やスケトウダラ(約12万4000トン)を10万トン以上引き離しており、日本の代表的な魚であることがわかる。

【図表】令和7年 魚種別漁獲量(概数)
※農林水産省「令和7年漁業・養殖業生産統計」より編集部作成

日本ではマサバとゴマサバが一緒に獲れるため、「サバ類」として集計される。関東などでは比較的脂が多いマサバが好まれ、全体としては「7:3くらいでマサバが多いのではないか」というのが水産関係者の見方だ。

だがマサバにしてもゴマサバにしても、日本では水揚げの大半が「ジャミ」や「極小」と呼ばれる200グラムに満たない小型魚で、脂の乗りは良くない。

そのため食用としての消費量は少なく、総数は明らかではないが、国産サバの食用比率は「缶詰を合わせても2~3割ではないか」(魚市場関係者)とみられる。28万トン超のうち、最大8万トン程度だ。残りは養殖魚の餌になったり、ベトナムやタイのほかエジプトなどアフリカへ大量に輸出されたりしている。

小型が多いサバの水揚げ(銚子港)
筆者提供
小型が多いサバの水揚げ(銚子港)

ノルウェーと日本では獲り方が違う

一方、ノルウェー産はマサバでもゴマサバでもなく「タイセイヨウサバ」という魚種。その最大の特徴は、日本のマサバに比べても大型魚が多く、同じ大きさでも脂の乗りがかなり良いことだ。

大西洋のサバの漁獲枠は、国際海洋科学評議会(ICES)の資源評価に基づき、ノルウェーやイギリス、フェロー諸島、アイスランドなど関係国で協議の上、国別で決定される。

ノルウェーでは配分された漁獲枠を大型の巻き網漁船などそれぞれに割り当てるため、「各漁船はできるだけ商品価値の高い、大きくて脂が乗ったサバを獲ろうとする」(ノルウェー水産関係者)。

これに対し、日本は島国で海域が広いほか、漁法や漁船規模が多種多様で、定置網や底引き網など複数魚種を混獲する漁船も多く、大半が漁船ごとの割当なし。獲った者勝ちになるため、「水揚げを稼ぐために(脂が少ない)小型のサバも獲らざるを得ない」(漁業関係者)。

結果として、毎年かなりの量が獲れはするが、多くが食用にはならないというわけだ。