予算管理ができるようになることが大切
最小限のおこづかいを渡し続けると浪費グセがつくといわれても、子どもにお金を多く渡しすぎると「遊びにばかり使ったり、危ないことに巻き込まれるリスクも増えるのでは… …」と不安のほうが大きい方もいますよね。なかには、子どもに渡すおこづかいはギリギリのままで、代わりに「必要があれば、そのつど親がお金を渡せばいい」と思う方もいるかもしれません。
子どもにとっても「親にいえば買ってもらえる」ということで、おこづかいに余裕が生まれたように思うかもしれませんね。でも、浪費グセをつけないために大事なのは単に「おこづかいの金額が多いこと」だけではないのです。
金融教育をする立場からいわせていただくと「親が必要なお金をそのつど、子どもに渡す」というのは、「使い道の決まったお金を子どもに渡している」だけで、これでは浪費グセを回避することにはなりません。先述したデンマーク工科大学の同じ調査では、予算管理の助言の有無も、将来の資産形成に有意な差が出るとあります(4)。
※4:Bucciol, Alessandro, Martina Manfrè, and Marcella Veronesi. (2022). “Family Financial Socialization and Wealth Decisions.” The B.E. Journal of Economic Analysis & Policy.
浪費グセをつけないことを含め、おこづかいで金融教育をするときのポイントは「親の見守りのもと、子ども自身がお金の予算管理をすること」なのです。定期的なおこづかいとは別に「親が必要に応じて渡すお金」は、一見、臨時で増額されたおこづかいのようですが、使い道の決まった「必要最低限のお金」ですから、子ども自身が予算管理をする必要はありません。
金融教育を誤ると「お金に困る大人」になる
ではどうするかというと、あらかじめ、定期的なおこづかいと一緒に「必要な分のお金」を先に子どもに渡しておくのです。これなら、必要な分のお金は「取っておかなきゃ」と子ども自身が予算を分けて管理することになります。これこそが、私が一番伝えたいおこづかい教育の肝なのです。
子どもへのおこづかいの金額、渡し方については、家庭ごとの教育方針などによって、いろいろな考え方があると思います。それでも、私が声を大にしていいたいのは、おこづかいは「家庭でしかできない金融教育」であり、お金に困らない大人に育つための練習するツールになるということです。
子どもが一生、お金に困らない大人になるために大事なのは「どうやって稼ぐか」ということと思われがちですが、実は「お金を予算で分け、管理できるか」のほうが肝心です。たとえば、いわゆる億万長者でもない限り、どんなに高収入の人も無計画に使いたい放題では、いつの間にかお金がなくなり、必要な物が買えない「お金に困る大人」になる確率が高くなってしまいます。

