「台湾有事は『存立危機事態』になりうる」
2025年11月の高市早苗首相による「台湾有事発言」は日本の観光業に大きな影響を与えた。この発言に中国は猛反発し、中国外務省や文化観光省は日本への渡航を控えるよう国民に呼びかけた。
これにより、中国の大手観光企業はすぐに団体ツアーの募集を停止し、航空各社も日中間を結ぶ航空便の運休や減便を相次いで実施した。
それから約7カ月が経過したが、依然として来日する中国人観光客の数は回復していない。5月20日に発表された日本政府観光局(JNTO)の訪日外客統計によると、4月に日本を訪れた中国人観光客は前年同月と比較して56.8%も減少している。
こうなると心配されるのは、日本が誇る観光都市・京都への影響だ。オーバーツーリズム問題もあり、日本人の「京都離れ」が進んでいると言われて久しい。そこにきて、インバウンド消費の3分の1を占めるとされる中国人観光客が激減すれば、地域経済に与える影響は小さくないだろう。
「中国政府が訪日自粛を呼びかけてから、その影響を予測するためシミュレーションを実施しました」
こう語るのは、京都市観光協会のDMO企画・マーケティング統括官を務める堀江卓矢さんだ。新型コロナの影響で訪日観光客が激減した2020年から22年のデータを基に、中国人観光客がどれだけ減るかをシミュレーションしたという。堀江さんが続ける。
「最初は“半減”くらいを予想していたのですが、実際の減少率はもっと高いことがわかりました。例えば今年4月の月間データでは64.3%も減少していたのです」
予想を超える減少数だったことがわかった一方で、「データからは意外な事実も判明しました」と堀江さんは言う。
「中国人観光客の減少が京都の外国人観光客全体の増減に与えた影響を計算してみると、わずか数パーセントの減少にとどまることがわかりました。実は、もともと京都を訪れる中国人観光客はそれほど多くなかったのです。なぜ中国の皆さんは京都を訪れないのか、という点について本格的な調査を行ったことはありません。ただ、京都は東アジアにおける伝統的な“都”の一つだという歴史が観光地としての魅力につながっていますが、中国の皆さんが“観光地の日本”に求めているものは違うものかもしれません」

