最大の取引先はインドネシア

冨士製作所にとって最大の取引先となっているのが、先ほども紹介したインドネシアに本拠地を構えるインドフードだ。

「インスタントラーメン業界では、世界的に見ても大きな企業なんです。『インドミー』という即席麺シリーズで世界的に知られていて、かなりの数のプラントを出荷しています」と櫻澤社長が語る。

冨士製作所がインドネシアへの輸出を本格化させたのは1970年代前半のこと。その後、多い時期には年間15〜20ラインを受注し、累積で70〜80ラインにおよぶ納入実績を誇ってきた。

1997年のアジア通貨危機の影響で、一時は3年近く受注が途絶えた苦しい時期もあったが、通貨や政治情勢が安定するにつれて引き合いが戻り、現在に至るまで継続的な取引が続いている。

海外での売り上げは、業績にも大きく影響している。2020年度以降の売上高は約30億円で推移してきたが、2025年の売上高は約50億円と1.5倍以上の伸びを記録した。インドや中東、アフリカでの新規受注の増加に加えて、プラント1ラインあたりの単価上昇も寄与している。

インドネシアをはじめとする海外事業は、ここへきていよいよ加速しはじめている。

冨士製作所の工場に置かれている、製麺プラントの一部
撮影=プレジデントオンライン編集部
冨士製作所の工場に置かれている、製麺プラントの一部

中国の“コピープラント”が流行したが…

海外で製麺プラント事業を展開するうえで、冨士製作所を長らく悩ませてきたのが“コピー”の問題だ。中国や台湾、韓国のメーカーが、冨士製作所や日本の競合他社の機械を模倣した類似プラントを製造・販売している。顧客の生産現場を訪ねた際、見覚えのある機械を発見することも珍しくないという。

「中国のお客さんのところにお邪魔すると、見たことがあるなという機械が置いてあるんですよ。よく見ると、やっぱりうちの機械をコピーしたものだったりします」と櫻澤社長が苦笑する。

ただし、コピープラントの品質不足に気づく顧客も少なくない。昔から冨士製作所のプラントを使っているメーカーのなかには、「最近ちょっと安いし、そこそこやれそうだから」と中国メーカーに発注をまわすケースもあるそうだ。しかし、その結果は芳しくない。やはり、という落胆とともに、再び冨士製作所に戻ってくる顧客もいるという。

もっとも、油断できない状況は続いている。中国や台湾にも、メーカーとして体裁を整えた競合会社が育ちつつあるからだ。品質と精度でリードを保つためには、新製品開発を毎年積み重ねていくしかない。

「他社と比べると、うちは新しいもの、小さなものでもどんどん手がけていくカルチャーがあるんですよ」と櫻澤社長。そのものづくり気質こそ、コピーされにくい強さの源泉となっている。