「製麺プラント」で世界シェア50%

1958年に誕生して日本の国民食となった即席ラーメンは、いまや世界的な国民食となっているといっていい。それを支えるために日本から世界各国に輸出されているわけではなくて、その国のメーカーが独自のブランドを生産・販売し、それが食べられている状況である。

そうしたなかでも、冨士製作所は各国の即席ラーメン製造に深くかかわっている。同社が手掛けるのは、即席ラーメンをつくるための製麺プラントだ。麺を揚げるフライヤーをはじめ、生地をローラーでシート状に圧延、切り歯で麺線にして特有のウェーブ加工をして蒸すなどの各工程が自動化されており、その生産ラインは70メートル以上、長ければ100メートルを超える。この設備がなければ即席ラーメンは生産できないし、即席ラーメンが世界の国民食になることもなかったはずだ。

【図表1】生産ラインの高度自動化を実現するFUJIの即席麺プラント
冨士製作所が製造・販売している即席麺プラントの全体図。すべての工程を自動化したのは冨士製作所が世界で初めて

この製麺プラントで冨士製作所は、国内・国外ともに50%というトップシェアを誇っている。1946年に櫻沢製作所として群馬県高崎市で創業し、1964年に冨士製作所と社名変更して群馬県藤岡市に工場を建設、1968年には本社も藤岡市に移転している。

同社が製麺プラントに進出するきっかけは、1963年に世界で初めての「即席麺ライン用コンベア式フライヤー」を開発したことだった。即席ラーメンは茹でた麺を油で揚げることで保存性を高めている。つまりフライヤーは、製麺プラントの心臓部といっていい。

40カ国以上にプラントを輸出

冨士製作所の櫻澤誠社長が、その開発ストーリーを語る。

「即席ラーメンが販売された初期のころは、麺を揚げる作業も手作業で行われていました。油を使う危険な作業なので、なんとか自動化できないかという依頼がうちにあり、それに応えて開発したわけです」

冨士製作所の本社(群馬県藤岡市)で謝罪を受ける櫻澤誠社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
冨士製作所の本社(群馬県藤岡市)で取材を受ける櫻澤誠社長

これまで冨士製作所は世界40カ国以上に製麺プラントを納入しており、売上高では輸出が7割から8割を占めている。製麺プラントは、そうそう壊れるものではない。いちど設置すれば、メンテナンスは必要だとしても、かなり長持ちする。となると、国内市場での成長には限界がある。

実際に、即席麺・インスタント食品分野で国内最大手の日清食品ホールディングスの海外売上比率は2016年3月期に初めて2割を超え、2023年3月期には36.6%まで上昇した。同社は2025年3月期に相当する2024年度の期初計画で、過去最大規模となる約950億円の設備投資を掲げた。その柱の一つが、米国・ブラジル新工場をはじめとする海外各社の増産体制の確立だった。

東洋水産も、2025年3月期には海外即席麺事業が売上全体の約45%を占める。米国ではテキサス工場やカリフォルニア工場でライン増設を進めており、国内メーカーは、新たな生産能力を海外で拡張する段階に入っている。