信頼回復にむけて何を発信するか

当日そこにいた米田浩一郎(当時の『23』ディレクター)の記憶では、「すでに筑紫さんとデスク、プロデューサーらとの話し合いで辞めないという方向は会議の前から決まっていたような気がするんですけどね。記憶違いかな。僕自身は筑紫さんが辞めなきゃいけないという道理がわからなかった。だって僕らはあの当時、ぎりぎりの現場まで足を運んでオウム事件を最も深く取材していましたしね」。

金平茂紀さんの著書『筑紫哲也「NEWS23」とその時代』(朝日文庫)
金平茂紀さんの著書『筑紫哲也「NEWS23」とその時代』(朝日文庫)

同じく会議の場にいた佐々木卓(当時『23』デスク)の記憶では、「辞めるのをやめると会議で筑紫さんが表明したあとは、これまで散々発言してきたこととの整合性をどうつけるかの話し合いに及んだ気がする。この失った信頼を回復するにはあと10年はかかるだろうという認識でしたよね。そのためには何を発信しなければならないかを考えようという議論の中で、僕は『TBSは今日、死んだに等しいわけですから、余計な言い訳をせずに信頼回復に努めていきましょう』と」。

筑紫さんは前記の本で、この佐々木発言から「TBSは死んだに等しい」を借用したのだと明かしていた。

僕自身は、前記の筑紫さんの「多事争論」で、TBSは首の皮一枚でつながったのだと思っている人間のひとりだが、後日随分と時間がたってから、局内外には全く異なった考えを持っている人々が数多く存在していたことをイヤというほど思い知ることになった。

【関連記事】
11体のラブドールと暮らし"正しい性行為"を楽しむ…「人より人形を愛する男たち」が奇妙な生活を始めたワケ
地方衰退の一番の原因は「人口減少」ではない…山口の超富裕層が「住民税43億円」をまるっと抱えて移住した理由
異民族に3000人の皇族が連れ去られ、収容所送りに…「戦利品」になった女性皇族たちがたどった悲惨な結末
「秀吉と一緒になるのがイヤ」ではない…お市の方が柴田勝家との自害を選んだ"現代人には理解できない"理由
「性犯罪者は全員死刑でいい」そう言って母は息子の性器に手を伸ばした…表に出ない「息子を襲う母」のリアル