どれだけ厚みのある知識を持っているか
一方、京大の社会科目は、東大とは違った顔を見せます。
京大社会では、知識そのものを正面から問う問題が比較的多く出題されます。地理、日本史、世界史のいずれでも、一問一答に近い形式の問題が一定数見られます。
ただし、これは単なる丸暗記を求めているということではありません。
京大で問われる知識は、細かい事実関係や用語の正確な理解を前提にしています。「なんとなく聞いたことがある」程度では対応できません。その知識が、頭の中で体系的に整理されている必要があります。
東大が「知っている情報をどう削るか」を見るのに対し、京大は「その分野についてどれだけ厚みのある知識を持っているか」を見る。
ここにも、両大学の違いがあります。
東大は、情報を編集する力を重視する。京大は、知識を深く積み重ねる力を重視する。この違いは、組織の中の人材にも当てはめることができます。
東大型の人は、会議やプロジェクトの場で、複雑な情報を整理して前に進めるのが得意です。一方、京大型の人は、特定のテーマを深く掘り下げ、その分野の見え方そのものを変えるような洞察を出すことが得意です。
どちらが優れているという話ではありません。組織には、両方が必要です。
「どんな学生を伸ばしたいのか」という思想
理科にも、東大と京大の違いは表れています。
東大理科は、速度と総合力が求められます。物理では長い問題文から必要な条件を素早く見つけ、化学では多くの小問を時間内に処理していく必要があります。見慣れない設定が出ても、臨機応変に対応し、効率よく得点を積み重ねる力が問われます。
一方、京大理科は、深度と専門性がより強く表れます。物理では、目新しい題材について本質的な理解が求められ、化学では長いリード文を読み解きながら高度な思考を展開する問題が多く見られます。
東大は、バランスよく総合的に処理できる人を求めている。
京大は、専門分野を深く追究できる人を求めている。
こう見ると、東大と京大の違いは、単に問題形式の違いではなく、「どんな学生を伸ばしたいのか」という大学の思想の違いでもあることがわかります。

