入試問題で組織に必要な両輪を示唆

この違いをビジネスに置き換えると、非常に実感しやすくなります。

東大型の人材は、実務推進に強い。

書影
西岡壱誠『東大・京大入試で培う 多面的に物事を深く捉える 複合的思考力』(KADOKAWA)

大量の情報を整理し、期限内に結論を出し、関係者にわかりやすく伝える。プロジェクトを前に進める。複雑な状況を交通整理する。こうした場面では、東大型の能力が大きく役立ちます。

京大型の人材は、問いの設定に強い。

前例のないテーマに向き合う。既存の前提を疑う。別の視点から問題を見直す。深い知識をもとに、新しい構想を立ち上げる。こうした場面では、京大型の能力が力を発揮します。

会社の中でよく起こるのは、どちらかに偏ることです。

東大型の人ばかりが集まると、仕事は速く進みます。しかし、そもそもの問いを見直す機会が少なくなり、既存の枠組みの中で効率化することに偏りがちです。

京大型の人ばかりが集まると、深い議論や独創的な発想は生まれます。しかし、結論が出るまでに時間がかかり、実行に移るまでのスピードが落ちることもあります。

だから、組織に必要なのは両方です。

速く処理する人と、深く掘る人。

結論を出す人と、問いを立てる人。

編集する人と、掘り下げる人。

この組み合わせがある組織は強い。

東大と京大の入試問題は、そうした人材の違いを考えるうえでも、非常に示唆的です。

最後に問われているのは「考え続ける力」

東大は「速い人」を取る。京大は「深い人」を取る。

ただし、ここで誤解してはいけないのは、東大が浅い思考を求めているわけでも、京大が遅い思考を求めているわけでもないということです。

東大が求める速さとは、雑に処理する速さではありません。膨大な情報の中から本質を見抜き、限られた時間で最適な答えを作る速さです。

京大が求める深さとは、ただ長く考えることではありません。少ない手がかりから複数の視点を組み合わせ、自分なりの論理を立ち上げる深さです。

両者に共通しているのは、考えることから逃げない姿勢です。

東大は、時間の制約の中で考え続けられるかを問う。京大は、手がかりの少ない問いに対して考え続けられるかを問う。

形は違っても、どちらも「考え抜く力」を見ています。

そしてこれは、受験だけでなく、仕事や人生のあらゆる場面で必要な力です。

限られた時間で判断しなければならない場面もある。すぐに答えの出ない問いに向き合わなければならない場面もある。情報を短くまとめる必要もあれば、ひとつのテーマを深く掘り下げる必要もある。

だからこそ、自分は東大型なのか、京大型なのかを知ることには意味があります。

自分は情報を整理して前に進めるのが得意なのか。あるいは、問いを深く掘り下げるのが得意なのか。自分の強みを知れば、伸ばすべき力も見えてきます。

東大と京大の入試問題は、単なる難問の集まりではありません。

そこには、日本最高峰の大学が、どんな人材を求め、どんな知性を伸ばそうとしているのかが表れています。

東大は「速い人」を取り、京大は「深い人」を取る。

その違いを知ることは、これからの時代に必要な「頭の良さ」を考える手がかりになるはずです。

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