「頭がいい」とは、どういうことなのか

「頭がいい」と聞くと、多くの人は、知識が豊富な人、計算が速い人、記憶力がいい人を思い浮かべるかもしれません。

たしかに、それらも頭の良さの一部です。しかし、東大・京大の入試問題を見ていると、両大学が本当に見ようとしているのは、単なる知識量ではないことがわかります。

東大や京大の問題は、知っていることをそのまま吐き出せば解けるようには作られていません。

文章を正確に読み、条件を拾い、情報を整理し、視点を変え、複数の要素をつなぎ、限られた時間の中で判断し、最後に自分の言葉で表現する。こうした一連の思考のプロセスが求められます。

知識を「持っている」だけでは足りない。知識を「使える」状態にしなければならない。

この違いは、AI時代において決定的です。

AIは知識を提示してくれます。要約もしてくれます。文章も生成してくれます。しかし、その答えが本当に妥当なのか、どの前提に立っているのか、自分の状況に当てはめてよいのかを判断するのは、人間の側です。

AIを使いこなす人と、AIに使われる人の差は、ここに生まれます。

東大・京大が問う「複合的思考力」とは何か

複合的思考力とは、一言で言えば、「複合的にいろんなものを使って、最後まで粘って考える能力」です。

問題を読んで、すぐに答えがわかる。公式に当てはめれば終わる。暗記した用語を書けば点が取れる。そういう問題なら、必要なのは知識の量かもしれません。

しかし、現実の問題はそうではありません。

ビジネスでも、日常生活でも、私たちが向き合う問いの多くには、きれいな正解がありません。新規事業に投資すべきか。転職すべきか。子どもの教育方針をどうするか。AIを導入すべきか。目の前のトラブルをどう処理すべきか。

どれも、ひとつの知識だけでは答えが出ません。

必要なのは、まず情報を読む力です。次に、情報を整理する力です。さらに、別の角度から検討する力が必要です。バラバラの要素をつなぎ合わせる力も必要です。

会議で話す若い男性ビジネスマン
写真=iStock.com/maroke
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限られた条件の中で優先順位を決める力も必要です。そして最後に、自分の考えを他者に伝わる形で表現する力が必要です。

この一連の流れが、複合的思考力です。

東大・京大の入試問題は、まさにこの力を測る装置になっています。