党も、機関紙もほぼ沈黙
第一報は事故の翌日。「辺野古沖で転覆二人死亡 沖縄 新基地反対の抗議船」と見出しをつけた記事を掲載した。ほとんど事実報道のみだが、金井船長について「穏やかな人でした」と知人に人柄を語らせているのが特徴的だ。もう一人の犠牲者である女子高校生については名前と年齢の記載のみで、その他の言及は一切なかった。
第二報は、3月21日。「市民団体事務所 海保が家宅捜査」の見出しで小さな一段記事が掲載された。業務上過失致死傷などの疑いで、名護市のヘリ基地反対協議会事務所などが捜索されたことを報じる内容である。
第三報は3月27日。事故そのものについての報道ではなく、「辺野古沖事故の中傷批判」という見出しで掲載された。日本環境法律家連盟という団体が、インターネット上で、事故への批判を超え、市民運動や平和教育を攻撃する「常軌を逸した誹謗中傷が拡散しているのは看過できない」とする声明を発表したことを紹介する記事だった。
これが事故後2週間で『赤旗』が報じた転覆事故関連の記事のすべてである。ヘリ基地反対協議会やオール沖縄の謝罪会見も、同志社国際高校での保護者説明会も一切報道しなかった。『赤旗』読者は、事故で何が問題になっているのか、共産党が事故についてどう考えているのかを紙面から知ることができないまま、事故に関連した「誹謗中傷は看過できない」という一方的な主張だけを読むことになった。
これでは「真実を報道する『赤旗』」という宣伝文句は、全くの虚偽と言わざるを得ないだろう。
共産党の「保身」が見え透いた謝罪
事故発生から2カ月後の5月17日になって、ようやく田村智子委員長は「修学旅行の高校生を船に乗せたこと自体が重大な誤りだった。船を運航するヘリ基地反対協議会の構成団体である日本共産党として、私からも心からおわびします。最愛の娘さんを亡くされたご遺族の悲しみや怒りがどれほど深いか、このことを決して忘れることなく、事故原因の解明、ご遺族への(直接の)謝罪と補償が行われるよう、私たちも尽力していく」と発言した。
新聞各紙はこの発言を「共産党が謝罪」などと報じたが、翌日の『赤旗』は「辺野古沖船舶事故巡り田村委員長が見解」との見出しで報じている。共産党にとっては「謝罪」や「おわび」ではなく「見解」のひとつでしかないのだ。
そもそもこの発言は、沖縄の知事選の見据えた共産党の演説会で党支持者に向かってのものだ。「おわび」を口にしなければ支持者が離れていくという事態の中での窮余の策でしかない。
19日の『赤旗』は、田村委員長の沖縄訪問と演説会を通して20代、40代が4人入党したことを誇らしげに報じていた。犠牲者やその遺族への心からの謝罪などは、まったくなかったかのようだ。



