捻じ曲げられたルール
「不屈」の金井船長のこうした態度は、僚船である「平和丸」にも共有されていた。彼らにとって、海保は自分たちの活動に対する“弾圧者”としか映っていなかったのである。
2隻のうち、リーダー格は「不屈」の金井船長であった。波浪注意報の中、出航したのも金井の決断だと見られている。金井は「ベテランの船長」や「辺野古の海を熟知している」とも報道されることが多いが、『琉球新報』が報じた発言を見る限り、金井は海のルールについては素人と言わざるを得ない。
「大きい船がよける」というルールは存在しないのだ。むしろ小回りの利く小型船のほうが、安全上、進路を譲ることが求められる。
また、辺野古の地元漁師たちは、波浪注意報の時には絶対に漁に出ないという。サンゴ礁の浅瀬が大きな波を生むことを知っているからだ。
注意報を無視し、しかも高校生たちを定員近くまで満載して出航を強行した判断は、とても「ベテラン船長」のものとは思えない。ルールも安全性も自分たちに都合のよいように解釈し、捻じ曲げていたのは抗議船の側だったのだ。
抗議船とオール沖縄会議の関係
さて、生還した「平和丸」の船長が事故を報告した「オール沖縄会議」とは何だろうか。2015年12月に設立された任意団体で、辺野古基地建設の中止、オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念を求める活動をしているのが、この「オール沖縄」だ。
「不屈」と「平和丸」を運航する「ヘリ基地反対協議会」も、「オール沖縄」の構成団体の一つである。
そのほか、「オール沖縄」には、沖縄で活動する日本共産党、社会民主党、沖縄社会大衆党などの政党が加わっている。政治団体としては登録されていない任意団体でありながら、玉城デニー沖縄県知事の選挙や、国政選挙では加盟政党の候補者の選挙運動を支える存在となっている。
日本共産党の赤嶺政賢・元衆院議員(沖縄1区)は前回(2026年2月)の総選挙で落選したものの、2014年から連続4回、小選挙区で当選してきたのは、「オール沖縄」を通じた選挙協力によるところが大きい。

