クイズ番組は豊かなアメリカ社会の象徴

では、CIEは、どのようなねらいでクイズ番組の導入を助言したのでしょうか。

徳久倫康『クイズの戦後史』(平凡社新書)
徳久倫康『クイズの戦後史』(平凡社新書)

さきに結論から言うと、クイズ番組は豊かなアメリカ社会の象徴であり、アメリカの精神的美徳を体現するものでもありました。

アメリカ的な価値観を示すと同時に、クイズ番組特有の性質が、日本社会のあり方を変えていく効果も期待されていたものと思われます。どういうことでしょうか。

アメリカでは1920年代はじめに商業的なラジオ放送が勃興し、1930年代にはすでに、クイズ番組が人気プログラムのひとつとして定着していました。この時期は同時に、アメリカの中流階級の生活基盤が急速に整えられたタイミングでもあります。

日本にもたらされたアメリカ的価値観

「狂騒の20年代」「黄金の20年代」という言葉で表されるように、当時のアメリカは文化、産業、インフラなどさまざまな面で劇的な変化を迎えています。

1920年代後半には自動車の世帯普及率は50%を超え、ラジオの受信機、洗濯機や冷蔵庫といった家電製品も浸透していきました。

クイズ番組はちょうど、当時の時代の潮流とマッチしていました。一般参加型のクイズ番組は、身分にかかわらず誰にでも参加の権利が与えられている一方、実力に応じて賞金・商品といった報酬が得られるという実力主義の構造を備えています。

機会は平等に与えられ、結果は能力に基づいてもたらされる。クイズ番組はフェアプレイ、自由競争、勤勉といった「アメリカ的価値観」を体現していたのです。

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