日本のゲーム会社はなぜ世界で売れるヒット作を生み出せるのか。欧米のゲーム会社では業績次第でリストラやスタジオの閉鎖が行われる一方、日本では社員を解雇せず、1ピクセルにこだわる品質追求が根づいている。海外メディアが報じた「日本のゲーム開発哲学」の正体とは――。
任天堂株式会社本社を撮影。
任天堂株式会社本社を撮影。(写真=Tokumeigakarinoaoshima/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

ファン待望のゲームを開発中止したワケ

海外ゲーム開発スタジオの厳しい現実を物語るニュースが、今年早々に報じられた。

騒動の舞台となったのは、フランスの大手ゲーム会社・ユービーアイソフト。代表作の『アサシン クリード』シリーズは歴史上の著名都市を舞台に、「隠れる」が主体のアクションを展開するユニークなゲームプレイで知られる。

そのユービーアイソフトが1月、ファンが長年待ち望んだ『プリンス・オブ・ペルシャ:時間の砂』リメイク版など6作品の開発中止を発表した。同社はまた、スウェーデンとカナダの2つのスタジオも閉鎖すると発表。米ビジネスニュース専門局のCNBCによると、翌日のユービーアイソフト株は34%急落した。

同社は一連の発表を、事業の「大規模なリセット」の一環と説明している。英公共放送のBBCによると、イヴ・ギユモCEOは、「持続可能な成長への回帰に向けた条件を整えるため」と説明する。

日本と海外のゲーム開発の決定的な違い

2003年に発売された『プリンス・オブ・ペルシャ:時間の砂』オリジナル版は、時を巻き戻す斬新なギミックでプレイヤーたちの心を鷲掴みにした、ユービーアイソフトの代表作の一つだ。BBCによると2003年だけで「数百万本」を売り上げた。何年も待たされた末にリメイク版が突然の打ち切りとなったことで、ファンの期待は大きく裏切られた。

こうした大規模なリストラは、海外のゲーム業界で比較的よく目にする光景だ。

日本のゲーム攻略メディアのGame8は、欧米のゲーム業界では2023年だけで1万500人が解雇されたと指摘。2024年に入っても歯止めがかからず、1月以降さらに推定1万800人が職を失ったとされる。マイクロソフトは2024年1月、前年に買収した米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードで1900人を削減している。

儲からないものは潔く切り捨てる、欧米の開発現場。ビジネスとしては一つの判断ではある。一方、それとは対照的に日本のゲーム業界には、より長期的な視野でゲーム開発者を育て、腰を据えて作品の品質を上げる文化が根付いている。