「日米の保守連盟」はどうなる?

メローニ首相とトランプ大統領の決裂は、日本にとっても重要な示唆を持つ。高市首相もまた、トランプ大統領との「保守同士の連帯」を外交の資産として活用しようとしているからだ。

まず確認すべきは、今回の決裂が政策上の食い違いではなく、「構造的必然」として起きた点だ。メローニ首相はトランプ大統領に近づくことで「橋渡し役」という地位を得たが、国民経済への直撃という現実の前では、その近さをコストなく維持することができなくなった。

日本経済はエネルギーの輸入依存度が高く、ホルムズ海峡の混乱は即座に国民生活を直撃する。トランプ政権が日本に軍事的関与を求める局面が来れば、「同盟の義務」と「国民の安全と生活」の板挟みになることを避けられない。そのとき、「トランプと近い首相」という資産は一夜にして負債に転じる。

もし高市首相が「NO」と言ったら…

第二に、トランプ外交の論理を冷徹に読み解く必要がある。「思想的に近い相手ほど、忠誠心を強く求める」のがトランプ氏の行動原理だ。「自分の側の人間」が従わないときの怒りは、距離を置いていた相手に対するそれより激しい。

日本が「同盟の特別な友人」を演じれば演じるほど、協力を拒否したときの代償が大きくなる。メローニ首相が経験したことを、高市首相は先例として学ばなければならない。

第三に、「価値観の共鳴」を外交の基軸にすることの限界を認識すべきだ。安全保障や経済という「生活と安全」に直結する問題においては、価値観よりも国益が優先されるのは当然だ。高市首相が拉致問題や北朝鮮政策でトランプ政権の協力を引き出そうとするなら、それは「友情」ではなく「取引」として設計しなければ機能しない。

では、日本はトランプ大統領とどう向き合うべきか。

答えは「適切な距離感の構築」である。メローニ首相が陥った罠は、近づきすぎたことで引き離すコストがあまりに大きくなった点だ。日本がとるべき対トランプ外交は、特定の政策課題ごとに協力の範囲を明確に設定し、「どこまでは協力し、どこからは協力できないか」を交渉の段階であらかじめ明確にしておくことである。