「株式・投資信託」の割合が圧倒的に少ない

「日本人は預金好きで、資産があり余っている」という通説とは、ずいぶん異なる姿が浮かび上がります。問題は“貯めすぎている”ことではなく、増えにくい形で資産を持ち続けてきたことにあったのです。

同じ資料には、2016年末時点の家計金融資産の構成比も示されています。

日本では、現金・預金が51.7%を占め、株式・投資信託は間接保有を含めても18.6%にすぎません。一方、米国では、現金・預金は13.7%にとどまり、株式・投資信託が46.2%を占めています。

この違いは、単なる国民性の問題ではありません。自分のお金を、どの程度「経済の成長」というリスク資産に委ねてきたか。その積み重ねの差が、20年後の資産規模の差として現れているのです。

つまり、日本人が将来に不安を抱き、資産を使うことに慎重になるのは、ある意味で自然ともいえます。

増えにくい資産構造のままでは、「安心して使える状態」に到達しにくいからです。

資産運用のゴールは「お金を使う」こと

だからこそ、本書で扱う「うまく使う」というテーマは、「贅沢をしよう」という話ではありません。

増やし方と使い方を一体で考え、資産を人生にどう還元していくかを整理すること。それが、日本人が本来手にできたはずの豊かさに、ようやく手を伸ばすための出発点になるのだと思います。

さて、先ほど紹介した米国の家計金融資産は3倍以上に増えたあと、どうなっているのでしょうか。少なくとも一般家庭の場合、運用した資産の多くが残ってしまい、相続に回されるということはあまりないでしょう。

日本では「使うこと」に心理的ハードルがあり、運用しても“使わずに終わる”ケースが少なくありません。私が常々強調している「お金を使うこと自体が社会への還元であり、資産運用のゴール」という考え方は、米国の資産形成文化では当たり前のことになっています。

「そんなに増やした資産を米国人は何に使っているのですか?」と聞かれることがあります。そこは増えた資産を“どう使うか”を常に考えている米国人と、使うのが苦手な日本人の文化の違いもあるかもしれませんが、その内容を見てみましょう。