5000万円が高齢者のために強制徴収される

【大橋】え⁉ それって、僕らは「年金は会社が半分負担してくれてる」と思っていますが、将来もらえる予定の年金に、会社負担分は特に関係ないということですか?

【橘】そういうことです。税金を強制的に徴収される会社員はいかに分が悪いかわかると思います。

※毎年届く「ねんきん定期便」を見ると、個人が支払った保険料の約2倍が受け取れる計算になり、一見お得に思えます。しかし会社負担分も含めて考えると、20歳で納めた1万円が、45年後の65歳になっても「利回りゼロの1万円」として戻ってくるだけの、極めて投資効率の悪い金融商品といえます。

【大橋】そんなことになっているとは思いませんでした……。

【橘】続いて健康保険についてです。

健康保険料は、収入が高い人ほど多く徴収される仕組みになっています。

しかし、どれだけ多く健康保険料を支払ったとしても、病院で特別な手厚い医療を受けられるわけではありません。そのため、高収入であればあるほど、サラリーマンにとって負担が重くなっていくのが現実です。

このように、社会保険の制度は、一生懸命働いた人ほど報われにくい仕組みになっています。日本は「人類史上例を見ない超高齢社会」に突入しましたが、その現実は、サラリーマンが必死に働いて生涯に支払う1億円の税金・社会保険料のうち、半分にあたる5000万円が高齢者のために問答無用で徴収されているという、極めて不愉快な世界なのです。

社会保険料の増額は、政治的に「簡単」

【大橋】改めて、給与明細を見ましたが、かなり社会保険料や税金が引かれてますね……。

【橘】これからも上がっていく可能性は高いと思います。

特に社会保険料は上がりやすいと思います。

【大橋】まだ、上がるんですか……。

【橘】所得税や住民税、消費税など税金を上げるときは国会で審議されることが、法律で義務付けられています。そのため消費税を2%上げるだけでも、政権が倒れるほどの猛反発が起きます。

「一強」と言われた安倍政権でも、消費税アップは5年半もかかりました。

【大橋】たしかに、消費税が上がるとき、国会で与党と野党がもみ合う映像をニュースで見た気がします。

【橘】一方、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料は厚労省の一存で上げることができます。

【大橋】厚労省が勝手に上げられるんですか⁉

【橘】基本的にはそうです。社会保険料の増額は、政治的に「簡単」なうえに、給与から天引きされて実感しにくいので、サラリーマンが狙いうちされるのです。

その結果、社会保険料率はこの20年で約30%もアップし、現在は月給とボーナスを合わせた総年収の約3割が保険料として徴収されます。サラリーマンが支払う保険料は(会社負担分も含めて)年収500万円で年140万円、年収700万円で年200万円程度になります。

【大橋】そんなに増えてるんですか……。

【橘】はい。これからももっと増えることが予想されます。

だからこそ、社会保険料も含めて税金の仕組みをよく理解しないといけません。