社会保険料「会社負担」のカラクリ

【大橋】でも社会保険料って、たしか、半分は会社が払ってくれてるんですよね?

だったら、そこまで悪いものではないんじゃないですか。一応、年金は払った分以上に戻ってくるという話を聞きますよ。

【橘】それにはカラクリがあります。

まず、会社が社会保険料を半分払ってくれていると言いますが、会社側はそれを人件費として扱っています。

つまり、大橋さんを雇うとき、大橋さんに払う給料と、会社負担分の社会保険料を含めて人件費を計算しています。

仮に大橋さんの年収が500万円だとすると、自分で払う社会保険料、会社負担の社会保険料がそれぞれ約70万円となります。

その場合、会社は「大橋さんには570万円の人件費が必要になる」と計算しているのです(図表1)。

【大橋】それって、会社が僕を雇うときは、「あいつに支払う給料は500万だけど、雇うには570万が必要だな」と考えているということでしょうか?

厚生年金に隠された「不都合な真実」

【橘】はい。

ですから、会社は大橋さんに570万円、さらにはパソコンやデスク、交通費などの経費を加えた金額以上の利益を上げることを求めるはずです。一般に、「人件費のコストは給与の2倍」と言われています。

【大橋】え、働いた分の半分しかもらえてないんですか……。

【橘】話はこれだけでは終わりません。

社会保険料のうち、厚生年金には「不都合な真実」があります。

【大橋】厚生年金って、給料から毎月引かれている分が老後に「年金」として戻ってくるやつですよね……。

【橘】はい。厚労省から送られてくるはがき「ねんきん定期便」には、これまで納めた年金保険料として自己負担分しか記載されていません(図表2)。

それなのに政府は年金について「払った分以上のものが戻ってくる」と国民に説明しています(図表3)。

つまり、会社が負担している厚生年金の保険料は、まるごと国に没収されて、将来受け取る年金にはまったく反映されないのです。