腎臓の膜は替えがないからこそ大切

腎機能に限らず、筋力、骨密度、視力、聴力、心機能……と、中年以降、あちこちに衰えは出てきます。しかし、そのほとんどが「うまく折り合いをつけていける」ものです。

若いころのように走れなくても、旅行に行けるくらいの体力を保っていられればいいし、足りない部分は眼鏡や補聴器のお世話になることもできます。

しかし、腎臓に関しては、そんな呑気なことはいっていられません。

どんなに使い勝手がよかった「ざる」も、長年愛用しているとガタがきます。穴も開くし、目詰まりもしてきます。

そのとき、ざるなら新しいものを買えばいいのですが、腎臓の膜は替えがなく、何歳になってもそのまま使い続けるしかありません。だからこそ、普段から少しでも大切に使っていくことが重要なわけです。

ちなみに、腎臓病が重症化して透析になるケースは、女性よりも男性に多く見られます。これは、糖尿病、肥満、喫煙といった腎臓病を悪化させるファクターが、中年以降の男性に多いからだと思われます。

喫煙する男性
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細菌やウイルスと闘っている状態が「炎症」

加齢に加え、腎臓の膜を傷つける大きな原因が「炎症」です。

炎症と聞いて、あなたはどんな状況を思い起こすでしょうか。

風邪をひいて喉が赤くはれたり、熱を持ったり、食中毒で胃腸炎が生じて痛みが出たりするのは、炎症のわかりやすい例ですね。肺炎、歯周病、皮膚炎……こうした炎症は、基本的に、なんらかの病原体から私たちの体を守るための生体防御反応のひとつです。

肺炎の場合は、肺に侵入してきた細菌やウイルスと闘うために、そこに炎症が起きているわけです。炎症のなかでも急性のものは、症状こそ激烈であっても、その原因を取り除くことで収まれば問題ありません。

一方で、持続する慢性炎症は、急性炎症よりもはるかにやっかいです。痛みもはれも痒みもなかったとしても、長期的に体の中で悪さをし、がん、心筋梗塞、脳卒中、認知症……など、さまざまな疾患の原因となることがわかっています。

もちろん、腎臓病も、その発症や増悪に炎症が関わっています。

とくに、最近、問題視されているのが「非感染性慢性炎症」です。これは、細菌やウイルスのような感染源がないのに、体の中で低いレベルの炎症が長時間持続するものです。

原因として、加齢、偏った食事、運動不足、喫煙、不眠、ストレスなど、生活習慣の悪化がいわれています。こうした悪い要素を排除することが、腎臓のために限らず重要です。