原油輸送の要衝・ホルムズ海峡の事実上の封鎖が長引く中、代替ルートの模索が進められている。コンテナ海運に詳しい神奈川大学教授の松田琢磨氏は「紅海ルートにも、喜望峰への迂回ルートにもリスクが存在する」という――。(第1回)
※本稿は、松田琢磨『コンテナ海運が世界を動かす』(角川新書)の一部を再編集したものです。
紅海ルートで起きた商船への攻撃
局面が変わったのは2023年11月に入ってからのことでした。
10月中旬にイスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスに対する軍事行動を開始すると、11月にはイエメンの親イラン武装組織フーシ派が、イエメン沖を通航する商船に対して攻撃を開始しました。
日本郵船が運航する自動車専用船「ギャラクシー・リーダー」が拿捕されたのもこの時期であり、主要海運会社は12月以降、紅海の通航を回避し、喜望峰経由への航路変更を余儀なくされました。
世界各国も米国を中心に「繁栄の守護者作戦」を展開し、航行の安全を守る対抗措置は取ったものの、フーシ派による商船への攻撃は止まりませんでした。
紅海情勢を受けたスエズ運河の通航回避は、船腹不足という供給要因による運賃上昇をもたらしました。
これは同じ量の貨物を運ぶために運航しなければならない距離が増えることによるものです。
たとえば、従来であればアジア・欧州間のコンテナ航路ではおおよそ12週間をかけて往復し、毎週同じ曜日に同じ港に寄港するために12隻の船を使用していました。

