喜望峰経由の難しさ
しかし、喜望峰経由へ回避すると往復で約1万3000キロメートルの航海距離が追加的に必要となり、12週では回り切れなくなってしまいます。その分だけ船舶が必要ということになりますが、コンテナ船では17%程度が必要になるとの試算もありました。
さらに、喜望峰付近は年間を通じて強風が吹き、高波や天候不良が発生しやすい航海の難所としても知られています。2024年に流失したコンテナのうち約200本が喜望峰周辺で発生したくらいです。
定時到着率は2023年11月に61.7%であったものが、2024年1月には51.4%に低下しました。
スエズ運河を通航しなくなったことによって、コンテナ港湾の混雑も激しくなり、とくに欧州の港湾で混雑レベルが悪化しました。
地中海に面した南欧や北アフリカの国々に貨物を運ぶためにスペインやモロッコの港で積み替えが多く発生し、バルセロナやバレンシア港の沖では入港待ちの船が並びました。
輸送の不安定化に対応するため、対応策がとられることとなりました。欧米の輸入業者は2024年4月以降、新学期やクリスマスなど販売のピークシーズンに向けた在庫確保を前倒しで開始しました。
船腹量増加でも輸送サービスは供給不足
この影響で2024年のコンテナ荷動きは例年より早い7月から8月にかけてピークを迎えることとなったのです。
荷動きが増えたのはアジアから欧米へ向かう航路だけではなく、途中の工程における半製品や部品を輸送するアジア域内航路もでした。
コンテナ貨物輸送量はコロナ禍の巣ごもり需要期さなかの2021年を上回り、前年比6.6%増の1842万TEUと過去最高を記録しました。
航路迂回に伴う船舶の追加や、航路調整および船舶移動に要する時間が増えたことによって世界のコンテナ船舶への需要は前年比で18.8%の増加にのぼりました。
船腹量の増加が前年比9.4%増にのぼったにもかかわらず、コンテナ輸送サービスの供給は不足状態が続きました。
2024年頭に一度ピークを迎えたコンテナ運賃は、前倒し需要を受けて需給がタイト化したことにより、4月から7月までふたたび上昇を続けました。
新造船の竣工と航路の調整が進んだ7月以降は下落に転じたものの、2024年の運賃水準は高い水準で推移することとなったのです。
