サービス維持に向けた船舶確保の舞台裏

コロナ禍に入ってから解撤スクラップや不稼働は高くない水準で推移しており、総じて2025年後半に入っても2024年と変わらず船舶供給が活発な時期が続いたと言えるでしょう。

松田琢磨『コンテナ海運が世界を動かす』(角川新書)
松田琢磨『コンテナ海運が世界を動かす』(角川新書)

これは貨物量の増加に加え、喜望峰迂回の定着で船腹に対する需要が増えるなか、各コンテナ船社がサービスを維持するために努力していることを反映しています。

2025年上半期は新アライアンス体制のスタート時期でもあり、海運会社にとっては航路網やスケジュールを変更したばかりの時期でした。

発表したスケジュールを維持し、運航を安定化させるためにも船舶を十分確保して稼働させる必要があったのです。

たとえば、この時期、ジェミニコーポレーションに属する2社はアジア域内航路で運航する船腹量を大きく増やしました。

喜望峰への迂回に加え、このような事情も船腹への需要を高める要因となりました。

しかし、コンテナ運賃は2024年7月以降は基本的に下落傾向が続いています。

その後、2025年3月から5月初めにかけて安定し、さらに上昇に転じたものの、6月上旬以降はふたたび下落傾向に戻っています。

過剰な供給が招いた運賃の下落局面

2025年に入ってから、コンテナ運賃は半額近くまで下がりました。

運賃下落の背景には船腹量の増加率が輸送量の増加率を上回り、需給が緩んでいることが挙げられます。

5月の運賃上昇は2025年5月12日の米中関税合意ののち、追加関税の影響で停滞していた米国向け貨物輸送の予約ブッキングが急増したことが理由でした。

輸送需要の増加に対応するため、欧州航路などほかの航路へ使っていた船が北米航路へ転配された結果、北米航路以外の運賃上昇にもつながりました。

しかし米国向け貨物輸送量は想定より伸びず、さらに急速な船腹増加を受けて運賃はふたたび下落に転じたのです。

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