目的を欠いた交流は単なるコスト
上司がわざわざ海外まで出張しても、活発な議論が交わされることなく、何も決まらないまま商談が終わることは珍しくありません。
このような状況は、海外の交渉相手に強い困惑を与えます。
相手は貴重な時間を割いているため、目的が不明確な商談は「時間対効果が低い」と判断します。
最悪の場合には、「自分たちの貴重な時間を奪われた」と否定的に受け取られるリスクもあるのです。
こうした不透明な対応は、相手に「この会社は一体何がしたいのか」という不信感を抱かせる原因になります。
仮に「情報交換」という言葉を用いるのであれば、その目的や、情報を得た後にどのようなアクションを取るのかをあらかじめ明らかにしなければなりません。
相手との関係構築は大切ですが、目的を欠いた交流は単なるコストに過ぎません。
本来、交渉とはつねに何らかの意思決定を伴うものであるべきなのです。
始める前に「ひとつよろしく」は意味不明
日本の常識が、世界の「非常識」となるケースは、これだけではありません。
日本企業では、ビジネスを始める前に、上司が相手先を「表敬訪問」したり、居酒屋やゴルフ場で「親睦を深める」ことを大切にしていますが、欧米企業や外資系企業では、こうした事前交流はほとんどありません。
海外の企業でも、相手先と一緒に酒を飲んだり、ゴルフをすることはありますが、それはビジネスが終わった後の話です。
日本企業には、仕事を始める前に「ひとつよろしく」と顔合わせをする習慣がありますが、欧米企業では「お疲れさまでした」が主流です。
今後は、ますますグローバルビジネスの機会が増えてくるはずですから、この違いを前もって理解しておく必要があります。
海外のビジネス現場では、日本人は真面目かつ勤勉であると高く評価されていますが、その一方で、「取り組むべき目的を言語化するタイミングが遅い」、「物事を判断して意思決定を下すまでに多大な時間を要する」と受け取られています。
ビジネスに取り組む前に、「ひとつよろしく」と言われても、世界のビジネスパーソンには、「何をどうよろしく」なのか判断ができません。
人間関係を構築するというのは、洋の東西を問わずに大事なことですが、お互いが人間関係を深めるのは、アジェンダを達成することが目的です。

