なぜコンビニATMの紙幣は尽きないのか
コンビニATMは、入金より出金のほうが圧倒的に多く、入金されないと紙幣がなくなってしまう。紙幣が底をついたら、セブン銀行のビジネスは停止してしまう。
しかし紙幣調達コストが高くなると、収益的には厳しくなる。ここに、紙幣在庫の確保と、調達コストの低減というトレード・オフがあった。
セブン‐イレブン店内のATMは、月1回程度、ALSOKが現金を運び入れるケースが多い。ALSOKが毎日入金に来ていたら、ALSOKに払う手数料だけで赤字になってしまう。どうすればATM内の紙幣の在庫を維持しながら、コストを下げることができるだろうか。
セブン銀行は、創業後間もなく「売上金入金サービス」を始めた。これは、店舗等の現金売上を、専用カードを使ってセブンのATMに入金するサービスである。専用カードによって入金された現金は、会社ごとに即座に1つの口座にまとめられ、本部・本社は一括で資金管理ができる。
ATMに売上を入金して「夜間金庫」代わりに
飲食店やフランチャイズ店などでは、その日の売上を店舗内に置いておくことは、防犯上問題であった。従来そのお金は銀行の夜間金庫に預けていたが、夜間金庫は採算がとれないということで、多くの銀行がこのサービスから撤退していた。
売上金入金サービスによって、お店は現金保有のリスクから解放され、特に夜間営業の企業にとっては、銀行の夜間金庫替わりになるメリットがあった。
当初、売上金入金サービスは、セブン‐イレブン店舗の売上の入金から始まった。これによって、特に夜間におけるセブン‐イレブンの防犯に役立った。売上金入金サービスは、次第に夜間営業の店舗やガソリンスタンドなどに広がり、さらに深夜に仕事を終えるタクシー運転手にとっても、なくてはならない存在となった。
売上金入金サービスは、専用カードで入金する際に発生する手数料収入だけでなく、紙幣調達コストも下げることができた。すなわち、入金者にはセキュリティを提供する一方で、その入金がセブン銀行の資金調達コストを大幅に下げているという、素晴らしいビジネスモデルだったのである。
売上金入金サービスは、セブン銀行が海外IRを行った際に、最も評価されていた点と言われていた。

