通帳、小銭なしで1台800万→200万円に圧縮

アイワイバンク銀行は、他行のように預金獲得や住宅ローンで競争するのではなく、他行と共存共栄できる「共通インフラ」であるATMを提供するビジネスモデルとした(なお融資業務として、2010年からカードローンを始めている)。

そのためにはパートナーが必須であり、まずは都市銀行と各県の第一地銀との提携を進めた。立ち上がりこそ苦戦したが、2003年度には信用金庫やゆうちょ銀行も加わり、提携金融機関は一気に309社に増えた。

その後は、無人ATM店舗の代替だけでなく、駅・空港への設置や他行のATMを代替するようになった。

ATMのハードウェアに関しては、他行が購入していたATMは1台800万円前後であり、さらに無人店舗のATMは、より丈夫な構造にするために2000万円近くかかっていた。一方セブン銀行のATMは、通帳なし、小銭なしと構造を単純にしたため、1台200万円程に抑えられた。これによって、1日の決済が70件程でも、採算がとれるようになった(銀行業界では、1日の決済が100件を割ると、そのATMは撤去すると言われていた)。

そして2003年度には経常利益、当期純利益共に黒字を達成。2005年には累積損失を一掃し、アイワイバンク銀行から(株)セブン銀行に改称した。

2007年度には、全国すべてのセブン‐イレブン、イトーヨーカ堂にセブン銀行のATMが設置され、どの店にもATMがあることが、消費者の安心感、利便性につながった。

ATM利用手数料を金融機関が自由に設定できるようにした

セブン銀行のATMは、実は地域の金融機関との提携があって成り立っている。

地域の金融機関は、セブン銀行とATM利用の提携をするだけでなく、警備保障会社のALSOKがセブン銀行のATMに補充する現金の調達をしている。逆にATM内の現金が多くなれば、セブン銀行は、提携金融機関に資金を預ける。

他社のキャッシュカードを使ってセブン銀行のATMで現金を引き出す時に、受入手数料を金融機関からもらうが、セブン銀行がユニークであったのは、引き出した客が金融機関に払うATM利用手数料は、各金融機関に任せたことである。引き出しにかかるATM利用手数料は昼間100円、夜間200円が標準であったが、どのように価格づけしても良いようにした。

セブン銀行の、単体経常収益に占めるATM受入手数料は、2025年3月期で83.5%であった。

それでは次に、セブン銀行のあまり知られていないコスト構造について述べていこう。