現金が必要になり、コンビニのATMに駆け込んだことのある人は多いだろう。なぜコンビニATMの紙幣はなくならないのか。早稲田大学名誉教授の山田英夫さんは「セブン銀行ATMにおいて、業者による現金補充は月1回程度だ。それでもお札が尽きないのは、出金が圧倒的な需要を占めるコンビニATMに『入金』の仕組みを作ったからだ」という――。
※本稿は、山田英夫『トレード・オン思考』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
コンビニATMの歴史
「コンビニでお金を引き出せたら便利」
(株)セブン‐イレブン・ジャパン(以下セブン‐イレブン)には、かなり前からこうした声が寄せられていた。
セブン‐イレブンは、1987年から公共料金等の収納代行を行っており、夜間や土日でも気軽に支払えるコンビニは便利であった。公共料金の支払いだけでなく、現金が引き出せたらもっと便利になるため、セブン‐イレブンは、まず既存の銀行と共同運営会社を作ることを考えた。
しかし、銀行と手数料で調整がつかず、また共同運営では、セブン‐イレブン内のATMは銀行の出張所扱いになり、セブン‐イレブンがサービスの主導権をとれないことが明らかになった。そこでセブン‐イレブンは、自ら銀行業の免許を取る方向に転換した。
2001年に(株)アイワイバンク銀行が設立された。大株主には、三和、あさひ、三井住友、東京三菱などの大手銀行も名を連ね、基本的に融資等は行わない決済専門の銀行として誕生した(すなわち、メガバンクをはじめとする銀行とは、競争しない構造になっている)。
銀行業の免許を取れば、金融機関各社が加盟している「統合ATMネットワーク」に加盟できると考えていた。しかし、他行客がアイワイバンク銀行のATMを使うだけで、その逆は少なく、手数料が一方的にアイワイバンクに流れると考えられ、ネットワークへの加盟は認められなかった。そこでやむをえず自力でネットワークを作り、それを直接金融機関につなげざるをえなかった。

