いち早く海外カード、海外送金にも対応

セブン銀行は大手都銀に先んじて、海外で発行されたカードによるATMでの出金を可能にした。訪日客が増えるに連れ、国内で現金(日本円)を引き出すニーズは高まったが、海外で発行されたカードの磁気ストライプが、日本の金融機関のキャッシュカードと位置が違っていたことから、日本の金融機関のATMでは、現金が引き出せなかった。

一方セブン銀行のATMは、最初から磁気ストライプの場所の違いも考慮して設計され、創業期からこのビジネスに参入できた(当時、他に対応していたのは、ゆうちょ銀行とシティバンクだけであった)。

また、セブン銀行は海外送金サービスも積極的に進めてきた。海外の企業と組んで、セブン銀行のATMから送金し、数分後に現地でお金を引き出すことができる。既存の日本の銀行の営業時間では、日本で働いている外国人は銀行に行けず、このサービスは大変好評である。

一般に日本の銀行は、その地域に住んでいる日本人、日本法人を顧客と考えていることが多いが、セブン銀行では、「その地域のセブン‐イレブンに来店する人」を顧客と考えた。

そのため、海外送金サービスも自然に出てきた。ちなみにセブン銀行のコールセンターでは、9カ国語に対応している。

海外送金のビジネスは10億円単位のビジネスであり、100億円単位が常識の大手都銀では参入しようという事業規模ではない。

「紙幣の調達コスト」を抑えた妙技

セブン銀行のビジネスモデルの成功のポイントをまとめると、次の6つになる。

第1は、銀行との提携ではなく、自ら銀行業の免許を取ったことである。当初の計画通り提携で参入していたなら、今でもATM設置銀行の出張所扱いのままで、戦略の自由度は大幅に制限されていたであろう。

第2は、統合ATMネットワークへの加盟が認められなかったことである。これも当初の目論見が外れた点であったが、自前でネットワークを構築せざるをえなかったことにより、セブンのATMは、挿入したカードの金融機関の画面に切り替わるなど、利用者にとっては、取引金融機関以外のATMでお金を引き出す不安感が払拭できた。

第3は、ATM機器のコストを大幅に下げ、損益分岐点を下げることに成功した。

第4は、後発であったことから、海外のカードも読み取れる仕様とし、これが国際化の引き金となった。

第5は、顧客の定義が「その地域に住む日本人」ではなく、「その地域のセブン‐イレブンに来る人」であり、国境を超えたニーズへの対応が進められた。

最後に、これは最も重要なポイントであるが、出金の多いコンビニATMにおいて、紙幣の調達コストが極めて安いことが挙げられる。売上金入金サービスを創業時から始め、見えない部分でローコスト・オペレーションの仕組みが、組み込まれていた。

我々はビジネスモデルと言うと、つい外部から見えやすいマーケティング部分に着目しがちであるが、セブン銀行のように見えない部分にこそ、持続的に収益を上げる鍵があることを忘れてはならない(図表1参照)。