キャラクターなら顔は表面に、体は底面に印刷する。膨張して見えるのを防ぎつつ、立体感を生む。奥行きを出す設計だ。

「お菓子のデザインなら、シールの中に本当にお菓子が入っているように見えるようにしています」(山﨑さん)

たしかに、透明のカプセルのなかに、立体的なイチゴケーキが入っているようなシールもある。

「2層に分けた印刷は、仕上がりを想像するのが難しく、ずれないようにデザインを調整するのが大変でした」(山﨑さん)

「平成女児ブームを狙ってない」

ボンドロはなぜここまで広がったのか。

その理由として指摘されるのが、「平成女児」と呼ばれる世代の存在だ。1990年代後半から2000年代にかけて小学生だった女性。小学生時代はぷっくりシールを集め、シール帳を作って友達と交換していた。いま20~30代になり、ブームを牽引しているともいわれる。

29歳の山﨑さんも生粋の平成女児だが、意外なことを言った。

「平成女児ブームを狙ったわけではありません」

開発の出発点は、別にあった。

トレーディングカードケースや小物雑貨を飾る「デコ文化」に着目し、「手軽にデコできるもの」を目指した。

ただし、ターゲットはあくまで「子ども」だった。未就学児から小学校低学年くらいの女子を想定していた。

その「狙いすぎなさ」が当たった。

「開発チームのメンバーは20代から40代まで幅広く、世代を超えたチームの話し合いのなかで形になりました。ただ、低年齢層をターゲットにしたことで、懐かしさも、進化したかわいさも感じてもらえる商品になったと思っています」

同じシールでも、使い方は人それぞれだ。子どもにも、大人にも、集める人にも、飾る人にも、あらゆる層に刺さった。

どこに貼ろうか。まだ取っておこうか。誰にあげようか。

その時間もまた、楽しさの一部になっている。

(AERA編集部・井上有紀子)

当記事は「AERA DIGITA」からの転載記事です。AERA DIGITALは『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら
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