大学受験も終わり、4月から新生活を迎えようという3月下旬……SNSでは受験生らのこんなつぶやきが相次いだ。
「繰り上げ合格の連絡が来たけれど、その場で辞退しました。まだ回ると思います」
「今更になって第一志望に繰り上げ合格……他大学にお金も払い、入居も決まってしまっているのに」
繰り上げ合格とは、合格者が入学手続きをしなかったり、手続き後に辞退したりした場合に、欠員を補充するため補欠者を繰り上げて合格とするものだ。私立大学では一般に辞退者を見越して定員よりも多く合格を出すが、それでも欠員が生じた場合に繰り上げ合格が行われる。
繰り上げ合格は正規合格者の入学手続きが締め切られる2月中旬から下旬に第1波、そして国公立大学の前期合格発表がある3月初旬から中旬に第2波があり、その後も3月下旬以降まで続く。
こうした繰り上げを巡る動きがとりわけ激しいのが、医学部だ。医学部・歯学部専門予備校「メルリックス学院」受験情報センター長の鈴村倫衣さんはこう説明する。
「医学部は学生1人当たりの補助金額が大きいこともあってか、かねて定員を厳密に守るよう求められています。他学部は『入学定員厳格化』と言っても多少の超過は許されますが、医学部の場合、1人単位で入学予定者を管理する必要があります。また、医学部は国公立大を上位に、私大まで含めて大学ごとの序列がかなりはっきりしています。そのため、上位校の枠がひとつ空くと別の私大から繰り上がり、そこでまた欠員が出て繰り上がって……という『玉突き』が起こりやすいんです」
受験生側も一定数の繰り上げが出ることを前提に動く。多くの私立大学医学部では合格発表の際、正規の合格とは別に、繰り上げ合格の候補者にあたる「補欠合格」を発表している。正規の合格者が辞退すると、補欠合格の上位から順に繰り上がっていくのだ。繰り上げが始まると、予備校やSNSでは「○○大学では補欠の○番まで回った」などの情報が飛び交うようになる。鈴村さんは続ける。
「第一志望にすんなり受かる超上位層を除けば、最初の合格発表で合格を得た『正規合格』の大学に進む人は多くありません。より上位の学校から繰り上げが回ってくるからです」

