浜辺美波と目黒蓮のダブル主演映画「ほどなく、お別れです」が興行収入40億円を突破し、2026年公開作品で興収No.1となる大ヒットを記録している(3月22日時点)。映画は2人の葬祭プランナーがさまざまな遺族と故人の“別れ”に寄り添う物語だが、劇中で描かれる納棺師の姿に胸打たれ、自身も志す人が増えているという。あまりなじみのない納棺師の仕事とは、どのようなものなのか。本作の監修に携わった納棺師育成機関「おくりびとアカデミー」代表の木村光希さん(37)に、現場で直面する苦労と喜びについて聞いた。
木村さんに映画監修の依頼があったのは、4年前のこと。「携わる以上は徹底的にこだわりたい」と脚本から参画し、セリフ、所作、衣装、備品一つひとつにいたるまで細やかに指導した。とりわけ、劇中で目黒蓮が披露した「納棺の儀」は、厳かで凛とした空気、無駄を排した美しい所作など、ハッと息をのむような存在感のあるシーンに仕上がった。
そのかいあってか、映画公開後、納棺師に興味を持った人からの「おくりびとアカデミー」への問い合わせ件数が例年の3倍に急増した。6カ月間の研修を経てプロを目指す「納棺師コース」の志願者一人ひとりと面接した木村さんは、その覚悟を厳しく見定めたという。
「人の死と向き合う納棺師は、生半可な気持ちで続けられる仕事ではありません。病気で亡くなった1歳の女の子、寿命をまっとうした95歳のおばあちゃん、首をつって自死したサラリーマンのお父さん……。1日に3~4件の現場を担当することもざらですが、どんな現場でも気持ちを切り替えて、目の前の故人様に向き合うことが求められます。ご遺族も放心状態だったり、突然泣き叫んだり、悲しみを怒りで表現されたり、そのつらいお気持ちを我々が受け止めなければいけない場面もあります」

