NG②:TPOを無視した「商談にビジネスリュック」
両手が空く「ビジネスリュック」も、この10年で定着しました。機能的ですばらしいツールですが、問題は「使用場面」にあります。
カッチリとした仕立てのウールスーツに、パンパンに膨らんだナイロン製のビジネスリュックを背負ったまま、初対面の商談や重要な会議に現れる。そんな男性を見かけることはありませんか。このスタイルには、致命的な「想像力の欠如」が2つ潜んでいます。
1つ目は、「スーツという構造物への想像力」です。ジャケットと重いリュックの摩擦によって、スーツの命である肩パッドが潰れ、背中の生地がテカテカに摩耗していくことに無頓着です。
2つ目は、「TPOと相手への想像力」です。たとえば3WAY仕様のビジネスリュックならば、リュック・肩掛け・手持ちと使い分けられます。道中は背負っていても、取引先のビルに入る前や、初対面の挨拶の直前に「手持ち(ブリーフケース型)」に切り替える。そのほんの少しの気遣い(切り替え)が欲しいところです。
初対面のカッチリとした場に、リュックを背負ったまま現れる。この無自覚な行動は、相手の脳内に「その場の空気を読もうとしない人だ」という静かなノイズを生み出します。特に決裁権を持つ相手が世代の離れた年長者だとしたら、「相手への敬意より、自分のラクさを優先する人間だ」という疑念を抱かせるリスクも拭えません。
ビジネスリュックが絶対にNGという訳ではありません。大切なのは「相手の目に、自分がどう映るか」という客観的なリスク管理の視点を持つことです。便利なツールだからこそ、TPOに合わせた使い方を切り替えるという想像力をもつこと。これが一流と二流を分ける身だしなみの境界線です。
NG③:変化を見逃す「くたびれたTシャツ合わせ」
オフィスカジュアルの浸透により、ジャケットのインナーにTシャツ(カットソー)を合わせるスタイルも定番化しました。しかし、ここで「Tシャツの肌着見え」という盲点を見逃せません。
SNSなどで散見される「ジャケットに白Tシャツを合わせればこなれて見える」という情報を鵜呑みにして、本来はインナー用やカジュアル用にすべき安価なTシャツを、ドレス感のあるウールジャケットに合わせてしまうケースです。ジャケットの重厚な質感に対して、Tシャツの素材がチープすぎるため、安っぽくチグハグな印象になります。
ワイシャツの代わりに襟がないTシャツをジャケットに合わせる着こなしが、オフィスカジュアルの主流であることは間違いありません。ところが問題は、SNSや雑誌の写真を参考にインナーの「色合い」だけを真似してしまい、最も重要な「質感のバランス」を見落としている点にあります。
そのチグハグな質感を自分の目で測ることを放棄し、「白TならばOK」というおすすめ情報で思考停止するのは、極めて危険です。さらに深刻なのが、そのTシャツの「劣化」に気づいていないことです。

