「日本製」の農産物を世界に売り出す

第二は、アグリテックによる一次産業の知的集約化だ。ニュージーランドの失敗は、農業を素材の切り出しに留めたことにある。日本は逆に、農業を製造業として再定義して、輸出産業として育成すべきだ。

その際は、単なる農産物輸出ではなく、自動収穫ロボット、環境制御システム(植物工場)、機能性品種のゲノム編集といった技術と知的財産のパッケージ輸出を目指す方向性が有効だ。

労働集約的な農業から脱却し、理系人材やエンジニアが稼げる職種として参入できる高付加価値産業へ転換することができれば、農業は衰退分野ではなく成長エンジンになりうる。

ニュージーランドの二の舞にならないために

第三は、AIや半導体技術など知財への資本還流を促す制度設計を構築することだ。

半導体と日本の国旗
写真=iStock.com/Thicha studio
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ニュージーランドではマネーが不動産に死蔵されてしまい停滞を招いたが、日本はこれを避けるために「形のない資産」へと向かわせる必要がある。

不動産投資を課税によって適正化する一方で、スタートアップ投資やエンジェル投資に対する徹底した免税措置を講じることは有効だ。また、アニメ・ゲームなどのコンテンツ産業における知的財産の証券化を支援し個人マネーを新産業へ誘導することが、具体的な手段として考えられる。

バブル後期のように「土地神話」を意識的に終わらせようとするのは愚策だが、若者の挑戦に資金が回るリスクテイクの生態系を構築することは必要だ。

これらの戦略を実行するには、既存の産業保護や高齢層が保有する資産の既得権益に切り込まなければならない。その痛みを先送りし続けた結果が、現在のニュージーランドの競争力低下と若者流出である。

日本にはまだ、世界と戦える種が残っている。それらを不動産や内部留保という非生産的な場所に眠らせておくのか、それとも次世代の武器として磨き上げるのか。今まさに、その選択を迫られている。

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