株式を持つ人と持たざる人の格差が拡大
そうは言っても、株価の上昇で恩恵を受けている人が多いのも事実だ。だが、最大の問題は株式を持っている人と持たざる人の格差がどんどん大きく拡大してしまうという点だ。つまり株式等の金融資産が増えて家計全体が潤っているというよりも、一部の資産家の資産がますます大きくなり、そうした人だけが大きな恩恵を受けていると見ることもできる。
こうした株価の上昇が、預貯金から株式などのリスク資産へのシフトを巻き起こしているのも事実だ。
特に少ない資金から簡単に始められるとして若年層などからも人気のNISAは大幅に残高を増やしている。金融庁の発表によると2025年12月末時点のNISAの累計買付額は71兆円と、1年前に比べて36%も増えた。2024年1月に新NISAとして投資できる金額を年間360万円まで拡大したことによって、個人の新規口座開設が急増。12月末の口座数は2826万口座と1年で10%増えた。
急速にNISA人気は広まったが…
株価が大幅に上昇したことがNISA人気の大きなきっかけであることは間違いない。インフレが進行する中で、預金金利が上昇しているとはいえ、普通預金金利ではインフレには勝てず、現預金で持っていると目減りしていくことが誰の目にも明らかになってきた。そんな中で株価の大幅な上昇が日々伝えられ、NISAを始めてみようかという若者が増えたと見られる。
ところがである。2026年に入って米国のベネズエラ侵攻やイランへの爆撃など、地政学的リスクが一気に高まったこともあり、株価は大きく乱高下するようになった。2024年以降、NISAを始めた若者の中には株価の下落によって、投資額の元本を割り込む例も出ており、ついに「NISA貧乏」なる言葉まで生まれている。
「NISA貧乏」とは、NISAの枠を使うために、収入の多くをNISAに投じたうえ、持っていた預貯金もNISAに移している結果、貧乏生活を強いられる人が増えているというのだ。そんな一例が、プレジデントオンラインに掲載されている。「『NISA貧乏』が急増するわけだ…FPが見た、年360万円の枠を満額埋めた40代共働き夫婦の“危ない家計”」というタイトルの原稿だ。

