「株は絶対儲かる」という思い込み
しかも、NISAに入れたはいいが、株価が下がって含み損が生じている場合、なかなか売って現金化する決断ができない。売りたくても売れない事態に直面している人も少なくないという。損をしてまで売りたくないという心理が働くからだ。
なかなか現金化しにくくなるリスクは、長年、株式などを保有している人ならば百も承知、株価が下がっている間、「塩漬け」にしてきたという個人投資家も多い。ところが、ここ数年の株価上昇で、「株は絶対儲かる」といった感覚が広がり、余剰資金だけでなく、生活に必要な資金まで株式や投資信託に投じるという問題が生じているわけだ。
株式のみならず、投資信託にも資金流入が続いている。2025年末の家計が持つ投資信託は165兆円。前年比21.3%増えた。金融資産に占める「株式等」の割合は14.5%、「投資信託」は7.0%に達する。このほか、個人向け国債などの「債務証券」も1年前に比べて9.6%増え、34兆円となった。
日本企業の成長と株価の上昇が重要
こうしたリスク資産への資金シフトの結果、家計の金融資産に占める「現金・預金」の割合が2025年末では48.5%まで減ったわけだ。ピークは2001年末の55.5%だったので、7ポイントも低下したことになる。
もちろん、金融資産の中で、現金・預金の額自体が大きく減ったわけではない。2025年末は1140億円と1年前に比べて0.5%増えた。いわば経済成長並みの増加だったと言っていいだろう。
家計の金融資産の中味を見ると「貯蓄から投資」への流れが徐々に始まったようにも見える。それでも現預金の比率が12%の米国に比べればまだまだ預貯金中心の金融資産構成であることは間違いない。米国は株式や投資信託が55%と過半を占めているので、日本の家計の投資へのシフトはまだまだこれからだろう。
もっとも、株式などの資産は短期間に一気に増やす性質のものではない。経済成長とともに投資先企業が成長して株価が上昇していく、あるいは株式分割などで資産が増えていくというのが本来のあり方だ。つまり、日本株で言うならば、日本企業が大きく成長して株価も上昇していくことこそ、重要なのである。
企業も国も豊かになり、その結果、個人金融資産が増えていく。株式は、決して博打のように資産を増やすための手法ではない。日本円の劣化で株価が上昇しているように見えることに一喜一憂するのではなく、日本企業そして日本経済が成長した恩恵を個人も受ける。それが本来の資産立国ということだろう。


