「飲みニケーション」は部下育成の場である
新型コロナウイルスの感染拡大を機に、「飲みニケーション」という言葉が使われる機会も随分と減ってきました。ここ数年の間に入社してきた新入社員たちは、コロナ禍の中で成人を迎えた人たちなので、そもそも「リアル飲み会」の経験自体が少ない世代でもあります。
「目上の人にビールを注ぐ時はラベルが上」とか、「お開きの時は何本締めがどうのこうの」とか、昔よく言われた、いわゆる“体育会系飲み会ルール”などは、個人的にはどうでもいいと思っています。
しかし私は、「飲みニケーション」自体は極めて有意義な部下育成の場だと考えています。参加者の年齢や好みを考えたお店の選び方、メンバーの席の配置、目上の人にどのタイミングで挨拶してもらうかなど、飲み会を通じて若い人たちが学べることは、たくさんあります。
一方で、先輩社員の方は、飲み会で気を付けなければならないことがあります。それは、後輩社員に対する“武勇伝”です。特にマネジャーは要注意です。
マネジャーは、武勇伝を語ることで、無意識に自分の“威厳”を保とうとしがちですが、マネジャーの武勇伝は、若手部下にとってはかなり昔のエピソードです。
マネジャーにしてみれば、昨日のことのように鮮やかに脳裏によみがえってくるエピソードも、部下たちは当然知る由もありません。「へえ~、そうなんだ」と思って聞いてくれるならまだしも、「時代が違うよ」「知らんし……」と思いながら、あなたの話を聞いている部下もいるはずです。
マネジャーの自慢話で“まずい酒”に
そういう私にも、飲み会で武勇伝を語る悪いクセがありました。ただ単に私に気を遣って話を聞いてくれる健気な部下の姿に、私は「部下が興味を持って聞いてくれている」、と勘違いしていました。そのことにはっきりと気が付いたのは、ある時の私の上司との飲み会でした。
ひたすら自分の武勇伝を勇ましく語る上司の姿に、私は強烈な眠気と闘いながら、「これはキツイな……」と思い、自分の部下に対する飲み会での接し方を猛省しました。
確かに、自分が経験した出来事から学んだことを、次の世代に伝えていくことは大切なことです。しかし、マネジャーは自分の体験をそのまま語るのではなく、その中にある普遍的なエッセンスを抜き出し、できるだけ今の時代に適用できるよう、アレンジして伝えなければいけません。それも、飲み会の席ではなく、日常の部下育成の場面で伝えていくべきです。
飲み会の席ではアルコールも入っています。気持ちも大きくなり、価値あるエピソードも、ただの自慢話になりがちです。せっかくの美味しいお酒も、マネジャーの自慢話で“まずい酒”に変わってしまいます。

