イランが世界経済を動かす理由
世界の石油(海上輸送)の約3分の1、LNG(液化天然ガス)の約4分の1が、この狭い水路を通過しています。もし、このホルムズ海峡が何者かによって「1日」封鎖されたら?
世界の石油供給の3分の1が止まり、原油価格は即座に1バレル=200ドル、300ドルへと際限なく跳ね上がり、世界経済は瞬時に破滅的な打撃を受けます。
そして、この「世界経済の首を絞める」ことができる位置に陣取っている国こそが、サウジアラビアの最大の宿敵であり、アメリカが「ならず者国家」と呼ぶ、イラン共和国です。
シーア派の盟主であるイランは、湾岸戦争以来、アメリカを中心とする西側諸国から厳しい経済制裁を受けてきました。特にアメリカが2018年に「イラン核合意」から一方的に離脱し、イラン産原油の「全面禁輸」という、事実上の経済戦争を仕掛けて以降、両国の緊張は一触即発の状態が続いています。
「ホルムズ海峡封鎖」のインパクト
追い詰められたイランに残された、最強の「ジョーカー」が、このホルムズ海峡の「軍事封鎖」です。イランは、海峡を封鎖する能力(機雷、高速艇、対艦ミサイル)を誇示し続けており、これが西側諸国にとって最大の脅威となっています。
現代の原油価格が、中東の地政学リスクと常に連動しているのはこのためです。
○ イランが支援するイエメンの反政府勢力が、サウジアラビアの石油施設をドローンで攻撃した(2019年)
○ ホルムズ海峡付近で、謎の勢力が、日本のタンカーを含む複数の石油タンカーを攻撃した(2019年)
○ アメリカが、イランの英雄であるソレイマニ司令官をイラクで暗殺した(2020年)
○ ホルムズ海峡付近で、謎の勢力が、日本のタンカーを含む複数の石油タンカーを攻撃した(2019年)
○ アメリカが、イランの英雄であるソレイマニ司令官をイラクで暗殺した(2020年)
こうした事件が報じられるたびに、市場は「ホルムズ海峡封鎖」のリスクを瞬時に織り込み、原油価格は急騰します。シェール革命後、中東におけるアメリカの存在感は低下傾向にありますが、この「世界最大の火薬庫」の安定は、今やアメリカ以上に、中国や日本にとっての死活問題となりつつあるのです。


