「健康的な食事」が逆効果に…

3.過ぎたるは及ばざるがごとし;偏りを避ける

特定の食品に偏ることが最大のリスクです。ナッツ、緑茶、ほうれん草、タケノコ、ショウガ、みょうが、高カカオチョコなどは摂りすぎないこと。ビタミンCの大量摂取も注意が必要です。

アーモンドやカシューナッツはシュウ酸含有量が高く、常食すればリスクは確実に上がります。問題は「体にいい」と信じて、毎日同じものを続けてしまうことです。

朝の健康習慣として緑茶(特に抹茶、玉露、煎茶)や紅茶、あるいは大量のホウレン草を入れたスムージーを飲む。これも、結石の専門家から見れば石の材料を補給している状態です。

トム・クルーズのようなストイックな食生活に憧れ、ナッツ(特にアーモンド、カシューナッツ)ばかり食べる、あるいは特定の「超健康食品」に固執する――。はたから見て「極端に偏った食生活」は、結石リスクという点では逆効果になることがあります。

一握りのナッツ
写真=iStock.com/Alphotographic
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ビーガン(完全菜食)の人に結石が多い可能性が指摘されるのも、動物性食品を避けることでカルシウム摂取が減り、逆にシュウ酸の多い葉物野菜の摂取が増えるという「偏り」が生じるからです。バランスの取れた「普通の食事」こそが、最強の予防薬なのです。

尿路結石は、かつては「贅沢病」と呼ばれましたが、現代ではメタボリックシンドロームの一環とも捉えられています。私が内視鏡でどれだけ完璧に石を取り除いても、その後の習慣が変わらなければ、また「芽」は育ちます。

何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。

なぜ5年で45%の人が再発するのか

4.停滞をつくらないという発想を持つ

運動不足は禁物です。腎臓の中の小さな結晶は、動かないと「下腎杯」という小部屋に停滞して石へと成長します。結石予防では、「揺らす」という行動そのものよりも、「体内に停滞をつくらない」という意識が重要です。

ジョギングや縄跳び、階段の上り下りなど、日常生活の中で体を動かす習慣を持つこと。長時間座りっぱなしにならない、移動をエレベーター任せにしない、といった小さな選択の積み重ねが、「腎臓をゆさゆさ揺らし」、結晶を石になる前に流し出す助けになります。


結石の再発率は高い、とよく言われます。実際、日本の疫学調査では、5年で約45%、10年で約60%が再発すると報告されています。ただ、「再発」という言葉の使い方が、少し曖昧なのではないか、と思います。

高橋さんの術後1カ月の検査で、左右の腎臓に1.6mmの所見が見つかりました。患者さんの立場であれば、「もう再発か」と感じるのは無理もありません。