わが子が将来、スポーツの世界で成功するようにするために親は何をしたらいいのか。世界の研究を調べた心理学者の内藤誼人さんは「生まれ月や出身地などによって大成するかどうかがわかる」という――。

※本稿は、内藤誼人『すごい子育て 科学的に証明された子どもの伸ばし方』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

大谷翔平、山本由伸
大谷翔平(写真左=米国大使館/PD US DOS/Wikimedia Commons)、山本由伸(写真右=Dodgers at Nationals/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons

プロ選手になるのに有利な生まれ月

親というものは勝手なもので、まだ海のものとも山のものともわからない赤ちゃんに、いろいろな期待をするものです。「うちの子には、将来、大谷翔平選手みたいなプロ野球選手になってほしいな」などと夢想しては、ニヤニヤして楽しむのです。

そういう親御さんの夢を打ち砕くようなお話になってしまうので申し訳ないのですが、生まれてくる子どもが何月生まれなのかによって、プロのスポーツ選手になれるかどうかはある程度は決まってしまうようです。

日本では、年度の切り替わりが4月。そのため、早生まれ(1月から3月生まれ)の赤ちゃんは、4月生まれの赤ちゃんに比べると、ほぼまる1年の差がついているわけです。

知能に関しても、体力に関しても差があるのもしかたがありません。早生まれは、生まれたときから不利なのです。

参考文献:Helsen, W., Sarkes, J. L., & Van Winckel, J. 2000 Effect of a change in selection year on success in male soccer players. American Journal of Human Biology, 12, 729-735.

トップ選手の約4分の1は8月か9月生まれ

子どもの才能などとは関係なく、何月生まれかによってプロになれるかどうかがある程度決まってしまうということは、ベルギーにあるルーベン・カトリック大学のウェマー・ヘルセンによって確認されています。

かつて、ベルギーではサッカー選手の年齢を区分する期日は8月1日でした。そのため、トップ選手の約4分の1は8月か9月生まれだったのです。

ところが、ベルギーのサッカー協会が年齢の区分する基準日を1月1日に変更することにしました。ヨーロッパでは、年齢を区切る基準日が1月1日だったからです。これは国際サッカー連盟(FIFA)が採用している基準でもあります。ベルギーでも他の国の標準に足並みを揃えようということになり、変更がなされたのです。

そこで、ヘルセンはこの前後でのセレクションの結果を調べてみました。

すると案の定、それまではずっと、セレクションで「才能あり」と判定されるのは8月生まれが多かったのに、基準日の変更後は、1月生まれが圧倒的に多くなっていることがわかりました。

日本でも大きな傾向は変わりありません。

Jリーグの選手を対象にした調査ですと、4月から6月生まれが多く、全体の約3割を占めます。そして最も少ないのが1月から3月生まれなのです。

サッカーだけではありません。他のスポーツ選手を調べても、早生まれ(1月から3月生まれ)の選手は相対的に少ないのです。

もちろん、子どもの才能もあるでしょうし、それ以上に本人の努力が大切なことは言うまでもありませんが、もし子どもが早生まれなのだとしたら、スポーツ選手になるために相当のいばらの道を歩むことになることは覚悟させましょう。たとえ同学年でも、ほぼ1年の差がつけられていたら、どうしても不利に決まっています。

●ポイント
早生まれの子どもは勉強もスポーツも不利
子どもの生まれ月を考慮してあげることが大切