子供の勉強に親はどのように関わればいいのか。心理学者の内藤誼人さんは「子供に対して自分の将来を保証してくれる、とても素晴らしい学問・科目の存在を伝えるべきだ」という――。

※本稿は、内藤誼人『すごい子育て 科学的に証明された子どもの伸ばし方』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

教室でパソコンを操作する小学生
写真=iStock.com/Zoey106
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科学が証明…子供に「恩恵」を与える科目

子どもに算数(数学)を教えるときには、どのように問題を解くのかだけではなく、いかに算数が将来的に有用な学問であるのかもくり返し教えましょう。

「算数ができるヤツは、お金持ちになれるんだぞ」
「高校生になって数学ができるヤツは、モテるぞ」
「算数だけは手を抜いちゃダメだぞ、社会に出てから成功者になれるんだから」

親としては、こんな感じのこともしっかりと教えてあげたいものです。

事実、算数ができる人ほど社会に出てから成功します。

アメリカのテネシー州にあるヴァンダービルト大学のデビッド・ルビンスキは、「数学的早熟少年・少女研究」(SMPY)に参加した子どもを35年後に調査してみました。

すると、子どもの頃に数学の成績が良かった人ほど、35年後には仕事で成功していることがわかりました。数学ができる子ほど、組織での地位が高く、年収も高いという明確な傾向が確認されたのです。

したがって、親としては「算数」がいかに自分の将来を保証してくれる、とても素晴らしい学問なのかを、口が酸っぱくなるほど子どもに言い聞かせたほうがいいのです。これは絶対にやってください。

「方程式なんて覚えても意味ない」

にもかかわらず、たいていの親はまるで反対のことを子どもに言っています。

「算数なんて、社会に出てから使わないぞ」

参考文献
Lubinski, D. & Benhow, C. P. 2006 Study of mathematically precocious youth after 35 years. Perspectives on Psychological Science, 1, 316-345.
Eren, O., & Henderson, D. J. 2011 Are we wasting our children’s time by giving them more homework? Economics of Education Review, 30, 950-961.
Yeager, D. S., Henderson, M. D., Paunesku, D., Walton, G. M., D’Mello, S., Spitzer, B. J., & Duckworth, A. L. 2014 Boring but important: A self-transcendent purpose for learning fosters academic self-regulation. Journal of Personality and Social Psychology, 107, 559-580.
Brisson, B. M., Dicke, A.L., Gaspard, H., Hafner, I., Flunger, B., Nagengast, B., &Trautwein, U. 2017 Short intervention, sustained effects: Promoting students’ math competence belief, effort, and achievement. American Educational Research urnal, 54, 1048-1078.

「方程式なんて覚えても意味ないぞ」は嘘

そんな風に親に言われた子どもは、算数を好きになるわけがありません。これでは子どもの将来を親がダメにしているようなものです。

子どもには、算数がいかに役に立つかを教えましょう。

アメリカにあるテキサス大学のデビッド・イーガーは、中学3年生に宿題をする将来的な理由について考えさせるようにすると(学歴があれば好きな仕事につける、結婚しやすいなど)、嫌いな科目にも真面目に取り組み、成績が上がることを確認しています。

ドイツにあるチュービンゲン大学のブリジット・ブリッソンも、数学が自分の人生にどのように役立つかを関連づけて考えるようにさせると、6週間後、5カ月後の2回の調査で、きちんと宿題をやるようになっていることが確認できたという報告をしています。

作家の曽野綾子さんが、「二次方程式など社会に出てから使わない」「私は、それでも生きてこられた」という話をどこかの本に書いておりました。

たしかに作家として生きていくのに数学は使わなかったのかもしれませんが、あまりに乱暴な意見だと思います。

すでに数多くの研究において、「数学は社会に出てから役に立つ」ということは明らかにされているのですから、子どもには算数好きになれるように促してあげるのが親としての務めではないでしょうか。

●ポイント
何で算数を学ぶのかを教えることが大切
将来、算数が役に立つことをきちんと教える